海の安全情報 ナブテックス(NAVTEX)の歴史とメッセージの読み方

2022/11/25

リアルタイム情報 船舶 放送・通信

t f B! P L

海上安全情報 ナブテックス(NAVTEX: NAVigational TEleX)とは

船舶で使用される自動電信受信装置で、送られてくる海上安全情報(受信気象状態の予測や警告及び航行警報や海上安全情報(MSI))を自動的に受信し、内蔵されたプリンタにより印字させることによって文字情報として受信するシステムで、海上における遭難及び安全に関する世界的な制度(GMDSS)の中で定められた通信機器である。船舶が航行する海域をA1からA4までの4つの海域に分けて、その航行する海域に応じて必要な無線設備の設置を義務付けている。概ね沿岸から200海里(約370km)から400海里(約740km)での使用を前提としており、航行に関する安全、気象、救助など各種リアルタイム情報が自動的に提供されている。
このシステムは主に、旧モールス遭難周波数500kHzのすぐ上下にある中波バンドを使用し、システムの範囲は、一般的に送信機から300海里のエリアになる。
NAVTEXシステムは、GMDSS海域A2で使用するように設計されており、主に海岸線や海域の面積が比較的小さい国によって利用されている。
主なカバーエリアは、地中海、北海、日本沿岸、北アメリカ大陸周辺などになる。
アメリカではアメリカ海軍並びにアメリカ沿岸警備隊が送信を行っており、イタリアではイタリア気象局、イギリスではイギリス海上保安庁などが、日本では海上保安庁が送信を行っている。この各種情報を受信するための受信料などは一切必要ない。国際海事機関(IMO)国際水路機関(IHO)で取り決められたGMDSS(海上における遭難及び安全の世界的制度)と同様、世界航行警報業務(WWNWS)の中で定められた主要機器となり、海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS条約)によって1993年8月1日以降、総トン数300トンを超える船舶への搭載が義務付けられている。
ナブテックス圏外を航行する船舶はインマルサット衛星を介し情報が提供され、EGC(Enhanced Group Calling)と呼ばれる一斉配信サービスが行われている。また、該当海域を航行する船舶には専用となるEGC受信機の搭載が義務付けられている。
ナブテックスシステムには、3つの放送周波数が割り当てられている。
  1. 518 kHz:国際ナブテックス メインの NAVTEX チャンネル。英語を使用。
  2. 490 kHz:ローカルナブテックス 現地語(英語以外)の放送に使用される。
  3. 4209.5 kHz:熱帯地域でのNAVTEX放送用に割り当てられたもので、現在はあまり使用されていない。
世界各国ではローカルナブテックス(490kHz)で母国語によるメッセージが送信されているが、中国では、中国語のナブテックスメッセージを周波数「486kHz」で送信しており、日本では「424kHz」で、日本語(和文)ナブテックスの送信が行われている。
同じNAVAREA内の局からの放送は、混信を避けるためにタイムシェアリングで調整する必要があり、各局ごとに決められた時間に周期的に放送されている。また、各局の出力を調整し、放送の範囲を制御している。特に夜間は中波が遠方まで到達する特性のため、この点は重要である。

日本が送信・管理する海上安全情報(ナブテックス)送信海岸局

局  名

識別信号

 使用電波の型式及び周波数

小樽(積丹第2)

 F1B 424kHz及び518kHz 

小樽(十町瀬)

 F1B 424kHz及び518kHz

横浜(富津第2)

 F1B 424kHz及び518kHz

門司(延行第2) 

 F1B 424kHz及び518kHz

那覇(喜屋武)

 F1B 424kHz及び518kHz


送信時刻(中央標準時) 混信を避ける為、一日4回 時間をずらして送信される

局 名

424kHz(和文)

518kHz(英文)

小樽(積丹第2)

午前1時51分
       午前5時51分

午前2時30分
        午前6時30分


午前9時51分
       午後1時51分

午前10時30分
        午後2時30分


午後5時51分
       午後9時51分

午後6時30分
        午後10時30分

小樽(十町瀬)

午前2時8分
       午前6時8分
午前2時40分
        午前6時40分


午前10時8分
       午後2時8分

午前10時40分
        午後2時40分


午後6時8分
       午後10時8分

午後6時40分
        午後10時40分

横浜(富津第2)

午前1時34分
       午前5時34分

午前2時20分
        午前6時20分


午前9時34分
       午後1時34分

午前10時20分
        午後2時20分


午後5時34分
       午後9時34分

午後6時20分
        午後10時20分

門司(延行第2) 

午前1時17分
       午前5時17分

午前2時10分
        午前6時10分


午前9時17分
       午後1時17分

午前10時10分
        午後2時10分

 

午後5時17分
       午後9時17分

午後6時10分
        午後10時10分

那覇(喜屋武)

午前1時0分
       午前5時0分

午前2時0分
        午前6時0分


午前9時0分
       午後1時0分

午前10時0分
        午後2時0分


午後5時0分
       午後9時0分

午後6時0分
        午後10時0分



NAVTEXメッセージのフォーマット

NAVTEXメッセージは、「海上安全情報IMO/IHO/WMO合同マニュアル」(IMO/IHO/WMO Joint Manual on Maritime Safety Information)および「IHO Publication S-53」に記載されているガイドラインに従って作成するよう定められている。すべてのメッセージの形式は、これらに厳密に従わなければならない。これは、運航に影響を与えるメッセージの必須要素を定義したものである。
ZCZC B1 B2 B3 B4 および NNNN のグループにおける構文エラーは、受信機の誤動作を引き起こすため、避けることが必要。この構文に従わないメッセージを受信した場合、受信機の動作がおかしくなり、メッセージを受信できなくなる可能性があるため十分な注意が必要である。

メッセージ信号フォーマット:


少なくとも10秒間のフェージング信号
位相変換の終了を示す4つの文字 "ZCZC"
スペース1つ
4つの文字列 B1、B2、B3、B4
キャリッジリターン、ラインフィード
情報本文
情報の終端を示す4文字 "NNNN"
キャリッジリターンと2行の改行どちらか
5秒以上のフェージング信号と "ZCZC "で始まる次のメッセージ、または、2秒以上の終了、待機信号。

ZCZC は、位相変換期間の終了を定義する。(メッセージスタートの合図)
B1文字は、送信所の識別信号を示す文字(A-Z)。NAVTEX受信機では、この一文字のコードに基づいて、オペレータがどの局からのメッセージも受け入れるか拒否するかを設定することで、印字・表示を拒否することができる。
B2文字は、メッセージの種類を表す文字(A-Z)。NAVTEX受信機では、この件名表示文字に基づき、特定のメッセージを拒否することも可能である。ただし、航行警報、気象警報、捜索救助情報に関するメッセージは拒否できない。
B3B4は、各メッセージの2文字の通し番号で、通し番号00を使用する特別な場合(遭難情報)を除き、01から始まる。個々のメッセージを識別し、既に受信したメッセージを繰り返さないようにするために使用する。
NNNN(次のメッセージの前に2秒以上の位相信号のメッセージ終了)

「B1」の日本に割り当てられている送信所の識別信号文字

- H - 門司(延行第2) 
- I - 横浜(富津第2)
- J - 小樽(積丹第2)
- K -小樽[釧路](十町瀬)
- G - 那覇(喜屋武)

「B2」のNAVTEXシステムに割り当てられている件名表示文字

- A - 航海警報
- B - 気象警報
- C - 海氷情報
- D - 捜索救助情報および海賊警告
- E - 気象予報
- F - 水先案内人に関する情報
- G - 自動船舶識別装置(AIS)メッセージ  (旧デッカに関する警報)
- H - ロランに関する警報
- I - 使用しない(旧オメガに関する警報)
- J - 衛星ナビゲーションに関する警報
- K - その他の電子ナビゲーションに関する警報
- L - ナビゲーションに関する警報
- V - 特別なサービス
- W - 特別なサービス(他の言語を使用する可能性あり)
- X - 特別なサービス
- Y - 特別なサービス
- Z - メッセージ無し (QRU)

International Navtex Serviceの共通略語

N

North or Northerly 

北または北方

NE

Northeast or Northeasterly

北東または北東方向

E

East or Easterly 

東または東方

SE

Southeast or Southeasterly

南東または南東方向

S

South or Southerly南または南方

SW

Southwest or Southwesterly

南西または南西方向

W

West or Westerly

西または西方

NW

Northwest or Northwesterly 

北西または北西方向

DECR

Decreasing

減少中

INCR 

Increasing 

増加

VRB  

Variable

変化する

BECMG

Becoming

なる

LOC

Locally

局所的

MOD

Moderate

中程度

OCNL

Occasionally

時折

SCT

Scattered

散発的

TEMPO 

Temporarily/Temporary

一時的/一時的

ISOL 

Isolated

孤立している

FRQ
Frequent/Frequency 

頻繁/頻度

SHWRS or SH

Showers

にわか雨

C-FRONT or CFNT

Cold Front

寒冷前線

W-FRONT or WFNT

Warm Front

温暖前線

O-FRONT or OFNT 

Occlusion Front

閉塞前線

WKN
Weakening

弱体化

BLDG 

Building

建物

FLN 

Filling

充填

DPN

Deepening

深化

INTSF 

Intensifying/Intensify

強める/強烈にする

IMPR  

Improving/Improve

改善する/向上させる

STNR 

Stationary

定常

QSTNR

Quasi-Stationary

準定常

MVG or MOV 

Moving/Move

移動する/動く

VEER

Veering

方向転換

BACK 

Backing

バッキング

SLWY

Slowly

ゆっくり

QCKY 
Quickly

早く

RPDY

Rapidly

速く

KT

Knots

ノット

KMH

Km/h

キロメートル毎時

NM

Nautical miles

ノーティカルマイル

M

Metres

メートル

HPA

HectoPascal

ヘクトパスカル

MET

Meteo

メテオ フランス気象局

FCST 
Forecast

予報

TEND 

Further outlooks

今後の見通し

VIS 

Visibility

視程

SLGT or SLT

Slight

軽度

QUAD

Quadrant

象限  (円の4分の1)

POSS
Possible

可能性

PROB 

Probability/Probable

可能性あり

SIG 

Significant

重要

NC

No change

変化なし

NOSIG 

No significant change

大きな変化なし

FLW

Following

次の

NXT 

Next

HVY  
Heavy

重い

SEV or SVR

Severe

厳しい

STRG

Strong

強い

FM

From

から

EXP

Expected

予想される

LAT/LONG 

Latitude/Longitude

緯度・経度

イギリス海上保安庁のMARINE GUIDANCE NOTEより

ナブテックスの読み方

実際のメッセージ例と翻訳例

赤文字がプリンタから印字されるメッセージだとします。
ZCZC HD85 → 情報はじめ 門司からの捜索救助情報 メッセージ番号85
301310 UTC AUG 19 →協定世界時 2019年8月30日13時10分送信
MISSING NO.323 →行方不明番号323番
ONE MEN DIVER WENT MISSING
OFF FUKUI KAREIZAKI AT 270900UTC. →協定世界時 27日9時に福井のかれい崎でダイバー1名が行方不明
(35-52-38N 136-00-19E) →北緯35°52’38″ 東経136°00’19″付近
SHIPS IN THE VICINITY ARE REQUESTED 
TO KEEP SHARP LOOKOUT AND REPORT ANY 
INFORMATION TO 8TH REGIONAL JAPAN 
COAST GUARD. PHONE 81-773-  -    . →付近の船舶は十分な警戒を行い、情報があれば第八管区海上保安本部へ通報されたし。
NNNN →情報おわり


ナブテックスの歴史

SOLAS条約は、非軍事船舶の安全に関する国際条約の中で最も重要な条約と位置づけられている。SOLAS条約は、船舶の建造・運航基準を定め、各国政府に海洋安全に関する義務を課しており、これまでに4回の改正をしている。

「海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS)」

  • SOLAS I 1914年 タイタニック号の事故を受けてが制定されたが、実際に実施されたのは第一次世界大戦後である。
  • SOLAS II 1929年 
  • SOLAS Ⅲ 1948年 
  • SOLAS IV 1960年 -  1965年5月26日に発効し、IMO設立後初の主要任務となった。規制を近代化し、海運業界の技術発展に歩調を合わせる上で、かなりの前進を意味した。
  • SOLASⅤ 1974年 -  急速に変化し、ますます技術的に進歩する世界に対応するため、加盟国の3分の2以上の賛成による批准を必要とせず、十分な数の異議申し立てがない限り発効するようになった。

518kHzで運用されるNAVTEXは、航行警報、気象予報・警報、海氷レポート、捜索・救助情報、水先案内人情報、航行補助装置の変更内容など、短距離の海上安全情報(MSI)を船舶が受け取る主要手段である。
NAVTEXメッセージは通常、狭帯域直接印刷(NBDP:Narrow Band Direct Printing)を使用して英語のみで送信され、船上で専用プリンターで受信する。印刷物として流通する情報は、船に届くまでに数日あるいはそれ以上かかる。それを補うため、NAVTEX導入以前は、定刻に異なる周波数で放送される無線電信によって海上安全情報(MSI)を受信していたが、小型船舶の多くは、無線電信装置や専任の無線担当者を積んでいないため、無線電信を利用することはできなかった。当時、他の業務が優先されるため、放送を聞き逃すこともしばしばあった。これらの問題を解決するため、1977年、IMO総会で航行・気象情報の伝達手段として世界航行警報サービス(WWNWS:World-Wide Navigational Warning Service)が採択され、その年に、スウェーデンで初めて試行された。
狭帯域直接印刷(NBDP)は、これらの情報を発信する優れた手段であることは、当初から認識されていた。特に、受信者が英語に堪能でない場合、メッセージが文書形式であり、聴取するよりも、閲覧する方が、ゆっくり確認できることから、有益である。もう一つの利点は、必要な情報を機器のオペレーターが選択できることで、必要な情報だけ選んで印刷することができるので、不要な情報は印刷されない。受信機も無人であるが、全船舶が受信すべき重要な情報(航行警報や気象警報、捜索救助情報)は拒否することはできず、必ず印刷される。ただし、GMDSSでは、遭難情報の送信は遭難・安全周波数で行われるため、NAVTEXは遭難情報の送信手段としては位置づけられていない。
NAVTEXの初期の実験は成功し、1979年にバルト海に面する国々が最初のNAVTEXネットワークを構築した。その後、ヨーロッパ北西部の海域をカバーする NAVAREA I に拡張された。同年の IMO 総会で採択された決議では、WWNWS(World-Wide Navigational Warning System)の一環として、船舶に航行警報や気象警報を伝えるNBDP放送を導入するよう各政府に勧告された。その後、順次 NAVTEX サービスが導入されるようになり、518 kHz の共通周波数でナビテックス情報を送信する局の手続きは、1987年の海上移動体通信に関する「世界行政無線会議決議第 324 号(Mob-87)」(Radio Regulations and in Resolution No.324 (Mob-87) )のArticle 14Aで規定されている。PDF
同年のIMO総会決議 RESOLUTION A.617(15)によりGMDSSの構成要素に正式に採用された。
1988年、航行警報や気象警報を含む海上安全情報の伝達ルールを定める改正がSOLASに盛り込まれ、世界海上遭難安全システム(GMDSS)として知られるシステムの新規則に組み込まれた。このシステムは、1992年2月1日から1999年2月1日までの移行期間を経て、GMDSSの要件が海上における人命の安全のための条約(SOLAS)の第5章において必須となった。1993年8月1日からは、オーストラリアとニュージーランドを除く全世界でナブテックス信号の受信が可能になったため、300トン以上の貨物船とGMDSSに基づく旅客船にNAVTEXの搭載が義務づけられた。
1994 年 5 月の第 63 回海上安全委員会を経て、NAVTEX マニュアルの第 2 版が作成され、これが現在も NAVTEX サービスの運用の基礎になっている。

現在のナブテックス

運用開始から40年以上のナブテックスであるが、ナブテックス受信機は機能の進化はほぼないが、コンピュータの機能化が進み、プリンタで直接印字れていたメッセージが一旦メモリに取り込まれたデータを専用のLCDによって表示できるようになった。国際ナブテックス受信機は平成15(2003)年にSOLAS条約の改正を受け、平成17(2005)年に国内規定が整備され、印字表示又はディスプレイ表示のいずれかのみの機能でも、認められるように規格が変更された。ローカルナブテックス(日本語)受信機に関しては平成21(2009)年6月8日に無線設備規則の一部を改正する省令(平成21年総務省令第58号)で改正され日本語ナブテックスでも印字または映像面へ表示が認められるようになった。これにより、ペーパーレス化を図り、用紙切れのリスクや省資源化が進められている。
現在、ナブテックスで提供されている海上安全情報(MSI)は、インターネットでも得ることができるようになっている。日本では、このインターネット対応の取り組みはブロードバンドが完全に普及する直前の2000年からと比較的早かった。現在は海上保安庁のWEBサイトで日本語のナブテックスと英語のナバリアXIの海上安全情報(MSI)がリアルタイムにアップされている。

NAVTEX航行警報

NAVTEX 日本語
日本沿岸から約300海里以内を航行する船舶に対して緊急に必要な情報を、NAVTEXシステムにより、NAVTEX送信局から無線放送。また、インターネットでも提供。

NAVAREA XI航行警報

NAVAREA XI 英語
NAVAREA XI区域(北太平洋西部及び東南アジア海域)を航行する船舶に対して緊急に必要な情報を、インマルサットEGCシステムにより、インマルサット衛星から無線放送。また、インターネットでも提供。


ナブテックスに関して電波法に定められている基準

電波法では電波法施行規則第12条(具備すべき電波等)で、「ナブテックス受信機F1B電波518kHz」受信の規定があり、ナブテックス受信機の要件については、無線設備規則第40条の10(ナブテックス受信機)及び郵政省告示平成6年第544号「ナブテックス受信機の技術条件」に規定されている。

無線設備規則第四十条の九第一項第四号及び第二項第二号の規定に基づくナブテックス送信装置の技術的条件
無線設備規則第四十条の十第一項第四号及び第二項第四号の規定に基づくナブテックス受信機の技術的条件

無線設備規則
第四章 業務別又は電波の型式及び周波数帯別による無線設備の条件
第三節 船舶局及び海岸局並びに船舶地球局等の無線設備
(ナブテツクス送信装置)
第四十条の九 F一B電波五一八kHzを使用して海上安全情報を提供する海岸局のナブテツクス送信装置は、次の各号の条件に適合するものでなければならない。
 一般的条件
 英文による航行警報、気象警報、捜索救助情報及びその他の情報を送信できるものであること。
 一方向誤り訂正方式(タイムダイバーシテイ方式を利用して入力信号の誤りを訂正する方式をいう。)により通信を行うものであること。
 電源電圧が定格電圧の(±)一〇パーセント以内において変動した場合においても、安定に動作するものであること。
 通常起こり得る温度若しくは湿度の変化、振動又は衝撃があつた場合において、支障なく動作するものであること。
 マーク周波数が一、六一五ヘルツ及びスペース周波数が一、七八五ヘルツ(許容偏差は、それぞれ〇・五ヘルツとする。)であること。
 信号伝送速度は、毎秒一〇〇ビット(許容偏差は、百万分の三〇とする。)であること。
 前三号に掲げるもののほか、総務大臣が別に告示する技術的条件に適合すること。
 F一B電波四二四kHzを使用して海上安全情報を提供する海岸局のナブテツクス送信装置は、前項第一号(イを除く。)、第二号及び第三号の規定によるほか、次の各号の条件に適合するものでなければならない。
 和文による航行警報、気象警報、捜索救助情報及びその他の情報を送信することができること。
 前号のほか、総務大臣が別に告示する技術的条件に適合すること。
(ナブテックス受信機)
第四十条の十 F一B電波五一八kHzを受信するための受信機は、次の各号の条件に適合するものでなければならない。
 一般的条件
 F一B電波五一八kHz及び総務大臣が別に告示する周波数の電波を同時に自動的に受信し、その受信した情報の英文による印字又は映像面への表示が自動的にできること。
 受信機能及び印字又は映像面への表示機能が正常に動作していることを容易に確認できること。
 遭難通信を受信したときは、手動でのみ停止できる特別の警報を発すること。
 電源電圧が定格電圧の(±)一〇パーセント以内において変動した場合においても、安定に動作するものであること。
 通常起こり得る温度若しくは湿度の変化、振動又は衝撃があつた場合において、支障なく動作するものであること。
 感度
 一五〇ピコフアラツドの容量と一〇オームの抵抗との直列回路による擬似空中線回路を使用し、受信機入力電圧五マイクロボルトの希望波信号を加えた場合において、文字誤り率が四パーセント以下であること。
 五〇オームの抵抗による擬似空中線回路を使用し、受信機入力電圧二マイクロボルトの希望波信号を加えた場合において、文字誤り率が四パーセント以下であること。
 一五〇ピコフアラツドの容量と一〇オームの抵抗との直列回路による擬似空中線回路を使用し、受信機入力電圧一〇マイクロボルトの希望波信号を加えた状態の下で、以下に掲げる無変調の妨害波を加えた場合において、文字誤り率が四パーセント以下であること。
 次の表の上欄に掲げる区別に従い、それぞれ同表の下欄に掲げる受信機入力電圧の妨害波

妨害波の周波数

受信機入力電圧

五一七kHzを超え五一七・五kHz以下及び五一八・五kHzを超え五一九kHz以下

一〇〇マイクロボルト

五一五kHzを超え五一七kHz以下及び五一九kHzを超え五二一kHz以下

一ミリボルト

一〇〇kHzを超え五一五kHz以下及び五二一kHzを超え三〇MHz以下

三一・六ミリボルト

一五六MHzを超え一七四MHz以下及び四五〇MHzを超え四七〇MHz以下

三一・六ミリボルト

 受信機入力電圧五マイクロボルトの五一八kHzの妨害波
 相互変調を生じる関係にある受信機入力電圧三・一六ミリボルトの二の妨害波(五一六kHzから五二〇kHzまでのものを除く。)
 前三号に掲げるもののほか、総務大臣が別に告示する技術的条件に適合すること。
 F一B電波四二四kHzを受信するための受信機は、前項第一号(イを除く。)の規定によるほか、次の各号の条件に適合するものでなければならない。
 受信及び和文による印字又は映像面への表示が自動的にできること。
 感度
 五〇オームの抵抗による擬似空中線回路を使用し、受信機入力電圧二・二マイクロボルトの希望波信号を加えた場合において、文字誤り率が四パーセント以下であること。
 五〇オームの抵抗による擬似空中線回路を使用し、受信機入力電圧四・五マイクロボルトの希望波信号を加えた状態の下で、以下に掲げる無変調の妨害波を加えた場合において、文字誤り率が四パーセント以下であること。
 次の表の上欄に掲げる区別に従い、それぞれ同表の下欄に掲げる受信機入力電圧の妨害波

妨害波の周波数

受信機入力電圧

四二三kHzを超え四二三・五kHz以下及び四二四・五kHzを超え四二五kHz以下

四〇マイクロボルト

四二一kHzを超え四二三kHz以下及び四二五kHzを超え四二七kHz以下

四〇〇マイクロボルト

一〇〇kHzを超え四二一kHz以下及び四二七kHzを超え三〇MHz以下

一二・六ミリボルト

一五六MHzを超え一七四MHz以下及び四五〇MHzを超え四七〇MHz以下

一二・六ミリボルト

 受信機入力電圧二・二マイクロボルトの四二四kHzの妨害波
 相互変調を生じる関係にある受信機入力電圧一・二六ミリボルトの二の妨害波(四二二kHzから四二六kHzまでのものを除く。)
 前三号に掲げるもののほか、総務大臣が別に告示する技術的条件に適合すること。
 
電波法施行規則第28条
電波法施行規則 抄
第二章 無線局
第四節 船舶局、航空機局等の特則
(義務船舶局の無線設備の機器)
第二十八条 法第三十三条の規定により船舶及び航行区域の区分に応じて義務船舶局の無線設備に備えなければならない機器は、次のとおりとする。ただし、当該義務船舶局のある船舶の船体の構造その他の事情により当該機器を備えることが困難であると総合通信局長が認めるものについては、この限りでない。
 A一海域(F二B電波一五六・五二五MHzによる遭難通信を行うことができる海岸局の通信圏であつて、総務大臣が別に告示するもの及び外国の政府が定めるものをいう。以下同じ。)のみを航行する船舶の義務船舶局にあつては、次の機器
(1) 送信設備及び受信設備の機器
超短波帯(一五六MHzを超え一五七・四五MHz以下の周波数帯をいう。以下この条及び第三十二条の十において同じ。)の無線設備(デジタル選択呼出装置及び無線電話による通信が可能なものに限る。)の機器 一台
(2) 遭難自動通報設備の機器
(一) 捜索救助用レーダートランスポンダ又は捜索救助用位置指示送信装置 一台(旅客船又は総トン数五〇〇トン以上の船舶であつて、国際航海に従事するもの及び遠洋区域又は近海区域を航行区域とするもの(国際航海に従事するものを除く。)の義務船舶局については、二台(旅客船(国際航海に従事しないものにあつては、遠洋区域又は近海区域を航行区域とするものに限る。)であつて、船首、船尾又は舷側に開口部を有するものの義務船舶局については、当該船舶に積載する生存艇の数四に対し一の割合の台数を加えるものとする。))
(二) 衛星非常用位置指示無線標識 一台
(3) 船舶の航行の安全に関する情報を受信するための機器
(一) ナブテツクス受信機(F一B電波五一八kHzを受信することができるものに限る。以下この項において同じ。) 一台
(二) 高機能グループ呼出受信機(ナブテツクス受信機のための海上安全情報を送信する無線局の通信圏として、総務大臣が別に告示するもの及び外国の政府が定めるものを超えて航行する船舶の義務船舶局に限る。次号及び第三号において同じ。) 一台
(4) その他の機器
(一) 双方向無線電話(生存艇に固定して使用するものを除く。次号及び第三号において同じ。) 二台(旅客船又は総トン数五〇〇トン以上の船舶であつて、国際航海に従事するもの及び遠洋区域又は近海区域を航行区域とする旅客船(国際航海に従事するものを除く。)の義務船舶局については、三台)
(二) 船舶航空機間双方向無線電話(国際航海に従事する旅客船の義務船舶局に限る。次号及び第三号において同じ。) 一台
(三) 超短波帯のデジタル選択呼出専用受信機 一台
(四) 船舶自動識別装置の機器(旅客船であつて国際航海に従事するもの、総トン数三〇〇トン以上の旅客船以外の船舶であつて国際航海に従事するもの及び国際航海に従事しない総トン数五〇〇トン以上の船舶の義務船舶局に限る。次号及び第三号において同じ。) 一台
(五) 地上無線航法装置又は衛星無線航法装置の機器(旅客船であつて国際航海に従事するもの、及び国際航海に従事する旅客船以外の船舶であつて総トン数二〇トン以上の船舶(国際航海に従事しない総トン数五〇〇トン未満の船舶のうち総務大臣が別に告示するものを除く。)の義務船舶局に限る。次号及び第三号において同じ。) 一台
 A一海域及びA二海域(F一B電波二、一八七・五kHzによる遭難通信を行うことができる海岸局の通信圏(A一海域を除く。)であつて、総務大臣が別に告示するもの及び外国の政府が定めるものをいう。以下同じ。)のみを航行する船舶の義務船舶局にあつては、次の機器
(1) 送信設備及び受信設備の機器
(一) 超短波帯の無線設備(デジタル選択呼出装置及び無線電話による通信が可能なものに限る。)の機器 一台
(二) 中短波帯(一、六〇六・五kHzを超え三、九〇〇kHz以下の周波数帯をいう。以下この条及び第三十二条の十において同じ。)の無線設備(デジタル選択呼出装置及び無線電話による通信が可能なものに限る。)の機器 一台
(2) 遭難自動通報設備の機器
(一) 捜索救助用レーダートランスポンダ又は捜索救助用位置指示送信装置 一台(旅客船又は総トン数五〇〇トン以上の船舶であつて、国際航海に従事するもの及び遠洋区域又は近海区域を航行区域とするもの(国際航海に従事するものを除く。)の義務船舶局については、二台(旅客船(国際航海に従事しないものにあつては、遠洋区域又は近海区域を航行区域とするものに限る。)であつて、船首、船尾又は舷側に開口部を有するものの義務船舶局については、当該船舶に積載する生存艇の数四に対し一の割合の台数を加えるものとする。))
(二) 衛星非常用位置指示無線標識 一台
(3) 船舶の航行の安全に関する情報を受信するための機器
(一) ナブテツクス受信機 一台
(二) 高機能グループ呼出受信機 一台
(4) その他の機器
(一) 双方向無線電話 二台(旅客船又は総トン数五〇〇トン以上の船舶であつて、国際航海に従事するもの及び遠洋区域又は近海区域を航行区域とする旅客船(国際航海に従事するものを除く。)の義務船舶局については、三台)
(二) 船舶航空機間双方向無線電話 一台
(三) 超短波帯のデジタル選択呼出専用受信機 一台
(四) 中短波帯のデジタル選択呼出専用受信機 一台
(五) 船舶自動識別装置の機器 一台
(六) 地上無線航法装置又は衛星無線航法装置の機器 一台
 A一海域、A二海域及びその他の海域を航行する船舶の義務船舶局にあつては、次の機器
(1) 送信設備及び受信設備の機器
(一) 超短波帯の無線設備(デジタル選択呼出装置及び無線電話による通信が可能なものに限る。)の機器 一台
(二) 中短波帯及び短波帯(四MHzを超え二六・一七五MHz以下の周波数帯をいう。以下この条及び第三十二条の十において同じ。)の無線設備(デジタル選択呼出装置、無線電話及び狭帯域直接印刷電信装置による通信(国際航海に従事しない船舶の義務船舶局の場合にあつては、デジタル選択呼出装置及び無線電話による通信とする。)が可能なものに限る。)の機器 一台
(2) 遭難自動通報設備の機器
(一) 捜索救助用レーダートランスポンダ又は捜索救助用位置指示送信装置 一台(旅客船又は総トン数五〇〇トン以上の船舶であつて、国際航海に従事するもの及び遠洋区域又は近海区域を航行区域とするもの(国際航海に従事するものを除く。)の義務船舶局については、二台(旅客船(国際航海に従事しないものにあつては、遠洋区域又は近海区域を航行区域とするものに限る。)であつて、船首、船尾又は舷側に開口部を有するものの義務船舶局については、当該船舶に積載する生存艇の数四に対し一の割合の台数を加えるものとする。))
(二) 衛星非常用位置指示無線標識 一台
(3) 船舶の航行の安全に関する情報を受信するための機器
(一) ナブテツクス受信機 一台
(二) 高機能グループ呼出受信機 一台
(4) その他の機器
(一) 双方向無線電話 二台(旅客船又は総トン数五〇〇トン以上の船舶であつて、国際航海に従事するもの及び遠洋区域又は近海区域を航行区域とする旅客船(国際航海に従事するものを除く。)の義務船舶局については、三台)
(二) 船舶航空機間双方向無線電話 一台
(三) 超短波帯のデジタル選択呼出専用受信機 一台
(四) 中短波帯及び短波帯のデジタル選択呼出専用受信機 一台
(五) 船舶自動識別装置の機器 一台
(六) 地上無線航法装置又は衛星無線航法装置の機器 一台
 義務船舶局の無線設備には、前項に掲げる機器のほか、当該義務船舶局のある船舶の航行する海域に応じて、当該船舶を運航するために必要な陸上との間の通信を行うことができる機器を備えなければならない。ただし、前項の機器又は当該義務船舶局のある船舶に開設する他の無線局の無線設備により当該通信を行うことができる場合は、この限りでない。
 義務船舶局のある船舶のうち、旅客船であつて国際航海に従事するもの及び総トン数五〇〇トン以上の旅客船以外の船舶であつて国際航海に従事するもの(総務大臣が別に告示するものを除く。)の義務船舶局の無線設備には、前二項の機器のほか、船舶保安警報装置(海上保安庁に対して船舶保安警報を伝送できることその他総務大臣が別に告示する要件を満たす機器をいう。)を備えなければならない。ただし、前二項の機器により、当該要件を満たすことができる場合は、この限りでない。
 国際航海に従事する次の表の上欄に掲げる船舶の義務船舶局の無線設備には、前三項の機器のほか、設備規則第四十五条の三の五に規定する無線設備であつてそれぞれ同表の下欄に掲げる装置を備えるものを備えなければならない。

船舶の区分

装置

総トン数一五〇トン以上の旅客船

航海情報記録装置

総トン数三、〇〇〇トン以上の旅客船以外の船舶(専ら漁労に従事する船舶を除き、平成十四年七月一日以降に建造されたものに限る。)

 

総トン数三、〇〇〇トン以上の旅客船以外の船舶(専ら漁労に従事する船舶を除き、平成十四年六月三十日以前に建造されたものに限る。)

船舶設備規程等の一部を改正する省令(平成十四年国土交通省令第七十五号)附則第二条第九項に規定する簡易型航海情報記録装置を備えていないもの

航海情報記録装置

船舶設備規程(昭和九年逓信省令第六号)第百四十六条の三十に規定する航海情報記録装置又は船舶設備規程等の一部を改正する省令附則第二条第九項に規定する簡易型航海情報記録装置(電波を使用しないものに限る。)を備えていないもの

簡易型航海情報記録装置


 義務船舶局のある船舶に積載する高速救助艇には、当該高速救助艇ごとに、手で保持しなくても、送信を行うことができるようにするための附属装置を有する双方向無線電話を備えなければならない。
 義務船舶局のある船舶のうち、旅客船であつて国際航海に従事するもの及び総トン数三〇〇トン以上の旅客船以外の船舶であつて国際航海に従事するもの(総務大臣が別に告示するものを除く。)の義務船舶局の無線設備には、第一項及び第二項の機器のほか、船舶長距離識別追跡装置(海上保安庁に対して自船の識別及び位置(その取得日時を含む。)に係る情報を自動的に伝送できることその他総務大臣が別に告示する要件を満たす機器をいう。)を備えなければならない。ただし、第一項及び第二項の機器により、当該要件を満たすことができる場合は、この限りでない。
 第一項第三号の義務船舶局であつて、その義務船舶局のある船舶にインマルサツト船舶地球局のインマルサットC型又は第十二条第六項第二号に規定する船舶地球局のうち一、六二一・三五MHzから一、六二六・五MHzまでの周波数の電波を使用する無線設備を備えるものは、第一項の規定にかかわらず、第一項第三号の(1)の(二)及び(4)の(四)の機器を備えることを要しない。ただし、インマルサツト船舶地球局のインマルサットC型の無線設備を備えるものであって、総務大臣が別に告示するインマルサツト人工衛星局の通信圏を超えて航行する船舶の義務船舶局の場合は、この限りでない。
 前項の場合において、その義務船舶局には、第一項第二号の(1)の(二)及び(4)の(四)の機器を備えなければならない。
 第一項の義務船舶局であつて、その義務船舶局のある船舶に高機能グループ呼出し受信の機能を持つインマルサツト船舶地球局の無線設備又は高機能グループ呼出し受信の機能を持つ第十二条第六項第二号に規定する船舶地球局のうち一、六二一・三五MHzから一、六二六・五MHzまでの周波数の電波を使用する無線設備を備えるものは、第一項の規定にかかわらず、高機能グループ呼出受信機を備えることを要しない。この場合において、当該インマルサツト船舶地球局又は第十二条第六項第二号に規定する船舶地球局のうち一、六二一・三五MHzから一、六二六・五MHzまでの周波数の電波を使用する無線設備は、第一項に規定する高機能グループ呼出受信機とみなして、義務船舶局における当該機器に係る規定を適用する。
10 小型の船舶又は我が国の沿岸海域のみを航行する船舶の義務船舶局は、総務大臣が別に告示するところにより、当該告示において定める機器をもつて第一項及び第二項の規定により備えなければならない機器に代えることができる。

参考:
NAVTEX - Wikipedia
海上保安庁が行う通信 PDF 
NAVTEX | 航行警報 | 海上保安庁 海洋情報部 
IHO Publication No. 53  MANUAL ON MARITIME SAFETY INFORMATION (MSI)

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自営無線通信のエンジニアをしていました。現在はコンピュータ系。理科っぽいものが好きなので、電子工作、BCL、アマチュア無線、RCカー、カブトムシ、金魚、熱帯魚、自作コンピュータ、カメラ、ドローンなど一通り通過しております。 現在は、飛ぶものと昔のものに興味があります。

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