無人航空機の教則の内容からドローンの運用の変更点を考える

2022/09/11

ドローン 航空法 無人航空機

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無人航空機操縦者技能証明に係る学科試験の科目について

令和4年(2022年)9月2日 制定(国空無機第191401号)

航空法(昭和27年法律第231号)第132条の47第2項に規定する無人航空機操縦者技能証明に係る学科試験について、航空法施行規則(昭和27年運輸省令第56号)第236条の48の規定に基づき、次のとおり試験の科目を定める。

新設される一等無人航空機操縦士と二等無人航空機操縦士の試験科目や、学科試験において求められる最低限の知識要件として教則の資料が発表された。令和4年12月5日から施行される。

無人航空機操縦者技能試験について
1-無人航空機操縦者技能証明における学科試験の科目について
https://www.mlit.go.jp/common/001510313.pdf
2-無人航空機の飛行及び学科試験において求められる最低限の知識要件について
無人航空機の飛行の安全に関する教則
https://www.mlit.go.jp/common/001510311.pdf
一等無人航空機操縦士の技能証明における登録免許税の納付方法等について
登録検査機関等に係る登録免許税の納付について
https://www.mlit.go.jp/common/001510310.pdf

今回、公表された無人航空機の飛行の安全に関する教則の内容を基に、試験問題が作成される。
ドローン イメージ

無人航空機の飛行の安全に関する教則の内容から無人航空機の運用の変更点を考えてみる。

教則の中で、用語が定義されている。


特定飛行

 a に掲げる空域における飛行又は b に掲げる方法による飛行のいずれかに該当する飛行を「特定飛行」といい、航空機の航行の安全への影響や地上及び水上の人及び物件への危害を及ぼすおそれがあることから原則として禁止されている。

a. 規制対象となる飛行の空域
(A) 空港等の周辺の上空の空域
(B) 消防、救助、警察業務その他の緊急用務を行うための航空機の飛行の安全を確保する必要がある空域
(C) 地表又は水面から150メートル以上の高さの空域
(D) 国勢調査の結果を受け設定されている人口集中地区の上空(人又は家屋の密集している地域の上空)

b. 規制対象となる飛行の方法
① 夜間飛行(日没後から日出まで)
② 操縦者の目視外での飛行(目視外飛行)
③ 第三者又は第三者の物件との間の距離が 30 メートル未満での飛行
④ 祭礼、縁日、展示会など多数の者の集合する催しが行われている場所の上空での飛行
⑤ 爆発物など危険物の輸送
⑥ 無人航空機からの物件の投下

無人航空機の飛行形態の分類(カテゴリーⅠ~Ⅲ)

無人航空機の飛行形態については、そのリスクに応じて次に掲げるとおりに分類される。

a. カテゴリーⅠ飛行

特定飛行に該当しない飛行を「カテゴリーⅠ飛行」という。この場合には、航空法上は特段の手続きは不要で飛行可能である。

特定飛行
b. カテゴリーⅡ飛行

特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者(以下「第三者」という。)の立入りを管理する措置(以下「立入管理措置」という。)を講じたうえで行うものを「カテゴリーⅡ飛行」という。
「カテゴリーⅡA飛行」「立入管理措置」を講じたうえで、リスクの高い特定飛行。空港周辺、高度150m以上、催し場所上空、危険物輸送及び物件投下並びに最大離陸重量25kg以上の無人航空機の飛行。
「カテゴリーⅡB飛行」「立入管理措置」を講じたうえで、その他のカテゴリーⅡ飛行をという。

c. カテゴリーⅢ飛行
(含 レベル4飛行「有人地帯+補助者なし+目視外」といわれる飛行)

特定飛行のうち立入管理措置を講じないで行うもの、すなわち第三者上空における特定飛行を「カテゴリーⅢ飛行」といい、最もリスクの高い飛行となることから、その安全を確保するために最も厳格な手続き等が必要となる。

特定飛行を行う場合の航空法上の手続き等
特定飛行の安全を確保するためには、無人航空機の飛行形態のリスクに応じて、①使用する機体、②操縦する者の技能及び③運航管理の方法の適格性を担保する必要があることから、飛行形態の分類に対応して次に掲げるとおりとなる。

a. カテゴリーⅡ飛行
カテゴリーⅡB 飛行に関しては、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合には、特段の手続き等なく飛行可能である。この場合、国土交通省令で定める飛行の安全を確保するための措置(以下「安全確保措置」という。)として飛行マニュアルを作成し遵守しなければならない。
カテゴリーⅡA 飛行に関しては、カテゴリーⅡB 飛行に比べてリスクが高いことから、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合であっても、あらかじめ③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることにより可能となる。
なお、カテゴリーⅡA 飛行及びカテゴリーⅡB飛行はともに、機体認証及び技能証明の両方又はいずれかを有していない場合であっても、あらかじめ①使用する機体、②操縦する者の技能及び③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることによっても可能となる。

b. カテゴリーⅢ飛行
カテゴリーⅢ飛行に関しては、最もリスクの高い飛行となることから、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させることが求められることに加え、あらかじめ③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることにより可能となる。


立入管理措置

特定飛行に関しては、無人航空機の飛行経路下において第三者の立入りを管理する措置(立入管理措置)を講ずるか否かにより、カテゴリーⅡ飛行とカテゴリーⅢ飛行に区分され、必要となる手続き等が異なる。
立入管理措置の内容は、第三者の立入りを制限する区画(立入管理区画)を設定し、当該区画の範囲を明示するために必要な標識の設置等としており、例えば、関係者以外の立入りを制限する旨の看板、コーン等による表示、補助者による監視及び口頭警告などが該当する。


特定飛行をする場合に遵守する必要がある運航ルール

a. 飛行計画の通報等(「ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)」に入力)

無人航空機を飛行させる者は、特定飛行を行う場合には、あらかじめ、次に掲げる事項等を記載した飛行計画を国土交通大臣に通報しなければならない(あらかじめ飛行計画を通報することが困難な場合には事後の通報でも可)。具体的には、国が提供している「ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)」に入力することにより通報する。
a. 無人航空機の登録記号及び種類並びに型式(型式認証を受けたものに限る。)
b. 無人航空機を飛行させる者の氏名並びに技能証明書番号(技能証明を受けた者に限る。)及び飛行の許可・承認の番号(許可・承認を受けた場合に限る。)
c. 飛行の目的、高度及び速度
d. 飛行させる飛行禁止空域及び飛行の方法
e. 出発地、目的地、目的地に到着するまでの所要時間
f. 立入管理措置の有無及びその内容
g. 損害賠償のための保険契約の有無及びその内容
無人航空機を飛行させる者は、通報した飛行計画に従って特定飛行をしなければならない。国土交通省は、当該飛行計画の通報を受けた場合に安全の確保のために必要と認めるときは、特定飛行の日時又は経路の変更など必要な措置を講ずるよう指示する場合があり、当該指示を受けた場合にはその指示に従わなければならない。ただし、安全を確保するためにやむを得ない場合はこの限りではない。
なお、特定飛行に該当しない無人航空機の飛行を行う場合であっても、飛行計画を通報することが望ましい。

b. 飛行日誌の携行及び記載

無人航空機を飛行させる者は、特定飛行をする場合には、飛行日誌を携帯することが義務付けられる。飛行日誌は、紙又は電子データ(システム管理を含む。)の形態を問わないが、特定飛行を行う場合には、必要に応じ速やかに参照や提示できるようにする必要がある。
特定飛行を行う者は、無人航空機に関する情報(登録記号、種類、型式、製造者・製造番号等)に加え、次に掲げる事項等を遅滞なく飛行日誌に記載しなければならない。特定飛行に該当しない無人航空機の飛行を行う場合であっても、飛行日誌に記載することが望ましい。
a. 飛行記録
飛行の年月日、離着陸場所・時刻、飛行時間、飛行させた者の氏名、不具合及びその対応 等
b. 日常点検記録
日常点検の実施の年月日・場所、実施者の氏名、日常点検の結果 等
c. 点検整備記録
点検整備の実施の年月日・場所、実施者の氏名、点検・修理・改造・整備の内容・理由 等


運用上で今後変更していかなければならない点

カテゴリーⅠ飛行
特定飛行に該当しない飛行を「カテゴリーⅠ飛行」という。この場合には、航空法上は特段の手続きは不要で飛行可能である。→現状通り

カテゴリーⅡ飛行
なお、カテゴリーⅡA 飛行及びカテゴリーⅡB飛行はともに、機体認証及び技能証明の両方又はいずれかを有していない場合であっても、あらかじめ①使用する機体、②操縦する者の技能及び③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることによっても可能となる。→無人航空機操縦士の技能証明を受けてないものでも、飛行の許可・承認を受けることで、飛行が可能。
カテゴリーⅡ飛行に関しては、現状で航空局より包括許可承認を受けて飛行させている場合とほぼ変更なく行える。ただし、カテゴリーⅡ飛行では「立入管理措置」を講じることが前提とされているが、「現状で航空局より包括許可承認を受けて飛行」では、この前提条件は存在していない。→「立入管理措置」を講じることが必須となる。

カテゴリーⅢ飛行
カテゴリーⅢ飛行に関しては、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させることが求められることに加え、あらかじめ③運航管理の方法について国土交通大臣の審査を受け、飛行の許可・承認を受けることにより可能となる。→「一等無人航空機操縦士の技能証明」を取得し「第一種機体認証を受けた無人航空機」で飛行の許可・承認を受ける。

 航空安全:無人航空機操縦者技能証明等 - 国土交通省 (mlit.go.jp)
https://www.mlit.go.jp/koku/lisence.html

飛行情報共有システムへの入力

飛行情報共有システム(FISS)から新システム(DIPS 2.0)へ移行される。令和4年12月5以降の飛行はDIPS 2.0へ入力
DIPS2.0 リリース日:令和4年11月7日(予定)
令和元年7月26日より、航空法に基づく許可・承認を受けて飛行を行う場合には、飛行前に飛行経路に係る他の無人航空機の飛行予定の情報等を飛行情報共有システムで確認するとともに、本システムに飛行予定の情報を入力することが必要となっています。
許可・承認を受けた飛行を行う場合には、飛行前に本システムに飛行予定の情報を入力して下さい。
【重要】令和4年12月5日以降の飛行を予定されている方々へ ~改正航空法施行に伴う注意事項~
令和4年12月5日の改正航空法の施行に伴い、飛行日が令和4年12月5以降となる飛行計画は、今後リリース予定の新システム(DIPS 2.0)へ通報をいただきますようよろしくお願いいたします。
なお、現行の飛行情報共有システム(FISS)において、令和4年12月5以降の飛行日を含む飛行計画の入力は可能ですが、令和4年12月4日までの飛行日の飛行計画のみ有効、令和4年12月5以降の飛行日の飛行計画は無効扱いとなりますのでご注意ください。
DIPS2.0 リリース日:令和4年11月7日(予定)

航空安全:無人航空機の飛行 - 国土交通省 (mlit.go.jp)
https://www.mlit.go.jp/koku/operation.html

飛行情報共有機能
https://www.fiss.mlit.go.jp/top

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自営無線通信のエンジニアをしていました。現在はコンピュータ系。理科っぽいものが好きなので、電子工作、BCL、アマチュア無線、RCカー、カブトムシ、金魚、熱帯魚、自作コンピュータ、カメラ、ドローンなど一通り通過しております。 現在は、飛ぶものと昔のものに興味があります。

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