中国大型ロケット(長征5号B)の残骸、軌道追跡から再突入、墜落まで

2022/07/28

スペースデブリ ニュース ニュースのその後 宇宙 人工衛星

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まもなく(2022年7月31日ごろ)大気圏再突入し落下してくると予想される中国の人工衛星打ち上げを終えた大型ロケット(長征5号B)のデブリを追跡されている軌道から現在位置をリアルタイムで確認する。ただし、NORAD(北アメリカ航空宇宙防衛司令部) より公開される軌道データを使用しシミュレーションしてある為リアルタイムでの観測情報を反映したものではない。(落下のタイミングを確認することはできない)今どこを飛んでいるかの確認はおおむね正確に確認できる。

長征5号Bのリアルタイム位置

OrbTrack(ex-GoogleSatTrack)キャプチャ
OrbTrackのWEBサイトで、
宇宙をさまよっている長征5号B(Long March 5B)の
リアルタイム軌道を見ることができる

OrbTrack - online satellite tracker 

2022年7月31日 大気圏再突入した模様。
「This object is probably no longer on orbit.」
この物体は、おそらくもう軌道上ではありません。

 CNN.co.jp : 中国大型ロケットの残骸、来週初めに地球落下か 無制御状態https://www.cnn.co.jp/fringe/35190993.html
2022.07.27
香港(CNN) 今月25日に中国の宇宙ステーションに新モジュールを届けた大型ロケット「長征5号B」の残骸が、来週初めに地球に落下する可能性があることが分かった。このロケットを追跡している米宇宙コマンドが明らかにした。

実験モジュール「問天」を搭載した重さ23トンの長征5号Bは24日午後2時22分、中国の海南島から打ち上げられた。その後、モジュールは中国の宇宙ステーションとのドッキングに成功した。

ミッション完遂後、長征5号Bは無制御状態で地球へ落下し始めた。落下する地点は不明。中国が自国のロケットステージから発生した宇宙ごみを適切に処理していないと批判されるのは3度目となる。

カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のマイケル・バイヤーズ教授は「これは重さ20トンの金属の物体だ。大気圏突入時に分解するが、かなり大きな破片を含め、多数の破片が地表に到達するだろう」と指摘した。

バイヤーズ氏の説明では、宇宙ごみが人間に及ぼす危険は極めて小さいものの、大型の破片が居住地域に落下すれば被害を起こしうる。

バイヤーズ氏は「今は無制御でランダムに再突入させるのではなく、制御された状態で再突入させる(通常は海洋の遠く離れた場所に着水させる)ことができる技術やミッション設計が存在するため、こうしたリスクは完全に回避可能だ」としている。

欧州宇宙機関(ESA)宇宙ごみ部門の責任者ホルガー・クラグ氏によると、国際的に最善とされる方法は、被害を出すリスクが高い場合には必ず、海洋の遠く離れた場所めがけて制御落下を行うことだという。


打ち上げられたモジュール 問天(Wentian)

COSPAR ID 2022-085A
Launch date 24 July 2022, 06:22:32 UTC
Launch vehicle Long March 5B
Docked    24 July 2022, 19:13 UTC

Mass       ~23,200 kg (51,100 lb) in orbit
         At launch: ~23,200 kg (51,100 lb)
         Dry mass: 21,650 kg (47,730 lb)
Length     17.9 m (59 ft)
Diameter     4.2 m (14 ft)

打ち上げたロケット 長征5号B

Long March 5 (LM-5)or Changzheng 5 (CZ-5)
CZ-5B   Catalog Number 53240   COSPAR ID 2022-085B
Size
Height     56.97 m (186.9 ft)
Diameter     5 m (16 ft)
Mass       854,500 kg (1,883,900 lb)
Stages     2
Payload to LEO
    Altitude  200 km × 400 km (120 mi × 250 mi)
     Mass  25,000 kg (55,000 lb)


参考:Wentian module - Wikipedia
   Long March 5 - Wikipedia

EUのSST、宇宙船「CZ-5B」を監視

欧州連合の宇宙監視・追跡システム(EU SST:European Union Space Surveillance and Tracking)オペレーションセンターは、2022年7月24日に中国の大型モジュール式宇宙ステーションの第2モジュール「問天」を打ち上げたロケットのコアステージである大型宇宙物体CZ-5B(2022-085B)の地球大気圏への再突入を監視しています。EUのSSTセンサーネットワークは、この天体を詳細に観測しており、そのレーダーは、再突入の時期を7月30日から31日に絞り込んでいる。

EUのSSTのセンサーにより、天体がタンブリングしていることが確認されました。タンブリング速度は1回転3.3秒と、かなり速い回転であることがわかります。また、天体の傾斜角が41.47度であることから、緯度帯±41.47度以内に再突入する可能性があります。しかし、この天体は制御不能であるため、これらの予測には不確実性があり、より良い予測は実際の再突入の数時間前にしかできないでしょう。

参考:EU SST monitors upcoming re-entry of space object CZ-5B – EU SST
https://www.eusst.eu/newsroom/eu-sst-monitors-reentry-space-object-cz5b/

EU SSTとは?

欧州連合の宇宙監視・追跡システム(European Union Space Surveillance and Tracking)の略称です。SSTシステムは、宇宙物体を調査・追跡できる地上・宇宙センサーのネットワークと、地球を周回する宇宙物体に関するデータ・情報・サービスを提供するための処理機構です。


問天(Wentian)を打ち上げ終えた長征5号B(Long March 5B)

CZ-5B / 53240 / 2022-085B

2022 Jul 28 04:05:27 UTCの情報
Two-Line Element set (TLE)
1 53240U 22085B   22208.76426414  .01736194  77446-5  44317-3 0  9995
2 53240  41.4783 330.1587 0062591 194.6545 165.1435 16.22223596   561

TLEについての説明
TLE(二行軌道要素/Two Line Elements)のフォーマット

実際の軌道情報からのリアルタイム位置情報を表示させる

カタログ番号などから人工衛星やデブリの軌道をシュミレーションしてくれるWEBサイト「OrbTrack」 https://www.lizard-tail.com/isana/tracking/ で表示させてみることができる。
OrbTrackの使い方は以前に調べたページ参照
国際宇宙ステーション(ISS)や人工衛星のリアルタイム運行状況 OrbTrack(ex-GoogleSatTrack)
https://www.memex9000.com/2022/04/OrbTrack.html



OrbTrack(ex-GoogleSatTrack)キャプチャ
 カタログナンバー「53240」の表示

参考:OrbTrack https://www.lizard-tail.com/isana/tracking/


中国の宇宙ロケットの再突入 残骸が海上に墜落

中国の長征5B(CZ-5B)のコントロールできない状態での大気圏再突入を各国の様々な機関が被害を心配しながら追跡していたが、大気圏に再突入した時間と位置が中国当局から発表された。
2022年7月31日0時55分(北京時間)ごろ、「長征5号B3」ロケットの残骸が大気圏に再突入し、東経119度、北緯9度付近の海域に落下した。


2022年7月31日 4:14 JST ブルームバーグより
Chinese Space Rocket Debris Crashes Back to Earth Over Ocean
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-07-30/chinese-space-rocket-debris-expected-to-crash-to-earth-saturday

中国の巨大なロケットブースターの残骸が、土曜日にインド洋上で地球に再突入したことを、米国と中国の宇宙当局が確認した。

ブースターからの残骸がどのような経路をたどるかはまだ不明であると、米国宇宙司令部は土曜日にツイッターで述べ、中国政府に質問を照会している。中国宇宙局は、23メートル(25.4トン)の長征5Bの残骸がフィリピン南西部の海上で地球に衝突し、残骸の「大部分」は再突入時に燃え尽きたと発表した。

NASA のビル・ネルソン長官は声明の中で、「中華人民共和国は、長征5B ロケットが地球に落下する際の特定の軌道情報を共有しなかった」と述べました。
「特に長征5号Bのような人命や財産が失われる危険性の高い大型輸送機については、信頼性の高い予測を可能にするために、すべての宇宙関係国は確立されたベストプラクティスに従って、この種の情報を事前に共有する役割を果たすべきである」と、ネルソン氏は述べた。

専門家は、人身事故やインフラ損傷の可能性は低いと判断していた。カリフォルニア州エルセグンドに拠点を置き、宇宙ミッションのための技術的アドバイスを提供し、米国の資金援助を受けている非営利法人エアロスペース・コーポレーションによると、ロケット本体は地球の周りを楕円軌道で回っていたため、「制御不能な再突入に向かって引きずられ」、地球の大気圏に突入したとのことです。
再突入の前に専門家たちは、巨大なブースターの多くは地球の大気圏に再突入して燃え尽きるが、40%もの巨大な塊は生き残って海や地上に落下するだろうと予測していた。いくつかの予測では、メキシコとブラジルの一部を横切り、アフリカ岬を横切って東南アジアの陸地を通過する軌道が示されていた。
中国のロケットブースターによる制御不能な突入は、この数年で3度目となる。2021年5月、別の長征ロケットの破片がインド洋に着水し、中国の宇宙機関が制御不能に陥ったのではないかと懸念された。 


U.S. Space Commandのツイート
@US_SpaceCom

#USSPACECOM can confirm the People’s Republic of China (PRC) Long March 5B (CZ-5B) re-entered over the Indian Ocean at approx 10:45 am MDT on 7/30. We refer you to the #PRC for further details on the reentry’s technical aspects such as potential debris dispersal+ impact location.

#USSPACECOM は、中華人民共和国(PRC)の長征5B(CZ-5B)が 7/30 10:45am (MDT) にインド洋上に再突入したことを確認しました。破片の飛散の可能性や衝突位置など、再突入の技術的な詳細については、#PRC を参照してください。

午前2:45 · 2022年7月31日
Aerospaceの予測した再突入ウィンドウhttps://twitter.com/US_SpaceCom/status/1553436525404323842

米国の航空宇宙シンクタンク Aerospace Coporationによる再突入の予想

CZ-5B R/B (ID 53240, 再突入) |エアロスペース社
https://aerospace.org/reentries/cz-5b-rb-id-53240-reentered

Aerospaceの予測した再突入ウィンドウ Aerospaceのサイトより

この画像は、17:08 UTC ±1時間というAerospaceの予測した再突入ウィンドウの中心を、ウィンドウの中心が明示される前にいくつかの5分間隔を示しています。 赤は Space-Track の最新の再突入予測 16:51 UTC で、±1 分の不確実性があります。 17:00 UTC直前に再突入の複数の目撃情報が報告されているマレーシアのクチンの位置も示しています。

再突入の目撃情報のツイート
Twitter Posted Sighting of Reentry in Kuching, Malaysia


「中国有人宇宙飛行」ウィーチャット公式アカウントによりると、モニターステーションの分析で、2022年7月31日0時55分(北京時間)ごろ、「長征5号B3」ロケットの残骸が大気圏に再突入し、東経119度、北緯9度付近の海域に落下しました。残骸は再突入の際に大部分が燃え尽きたということです。

中国が発表したとされる東経119度、北緯9度付近

中国が発表したとされる東経119度、北緯9度付近


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自営無線通信のエンジニアをしていました。現在はコンピュータ系。理科っぽいものが好きなので、電子工作、BCL、アマチュア無線、RCカー、カブトムシ、金魚、熱帯魚、自作コンピュータ、カメラ、ドローンなど一通り通過しております。 現在は、飛ぶものと昔のものに興味があります。

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