コヒーラ(Coherer ) 無線通信技術 黎明期の検波器

2022/05/23

昔の技術 特許 発明 放送・通信

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原始的な無線信号検出器 コヒーラ

20世紀初頭の無線電信時代の黎明期の無線受信機で使用された原始的な無線信号検出器で、
受信機での使用は、フランスの物理学者エドゥアール・ブランリー(Édouard Branly)の1890年の発見に基づいており、その後10年間にわたって他の物理学者や発明家によって、実験や改良が繰り返され、受信機に使用されるようになった。この装置は、2つの電極が小さな間隔で配置されたチューブまたはカプセルから成り、その間に金属片がある。この装置に高周波信号を流すと、金属粒子は互いにくっつき、「凝集(コヒーリング)」し、デバイスの抵抗値を下げ、より大きな直流電流を流すことができるようになる。この電流がベルやモールス信号のテープレコーダーを作動させ、受信した信号を認識させるように動作したり、記録したりなどの結果を得ることができた。コヒーラの金属片は、信号(パルス)終了後も、コヒーラ内の金属片はくっついたまま(導電性のまま)になるので、信号を受信するたびに電磁石で作動する拍子木(クラッパー)でコヒーラを物理的に叩き、元の状態に戻す(除鉄(デコヒーリング))しなければならなかった。コヒーラーは1907年頃まで広く使用され続け、その後、より高感度な電解検出器と結晶検出器に置き換えられた。

電気インパルスおよび信号の送信、およびそのための装置の改善 MARCONI GUGLIELMO

電気インパルスおよび信号の送信、およびそのための装置の改善
MARCONI GUGLIELMO GB189612039A·1897-07-02


コヒーラの歴史

1890年、フランスの物理学者エドゥアール・ブランリー(Samuel Alfred Varley)は、フランスのジャーナルに「異なる電気条件下での物体の抵抗の変化について」(the Changes in Resistance of Bodies under Different Electrical Conditions)を発表し、金属に対する微小な電荷の影響と多くの種類の金属の徹底的な調査を行った。1つのタイプの回路では、ファイリングはガラスまたはエボナイトのチューブに入れられ、2つの金属板の間に保持された。回路の周辺で放電が発生すると、取り付けられたガルバノメーターの針に大きなずれが見られた。チューブ内のファイリングは、チューブが20ヤード離れた別の部屋に置かれた場合でも放電に反応すると指摘した。ブランリーは、「不完全な」金属接点に基づいて、これらのデバイスの多くのタイプを考案し続けた。ブランリーのファイリングチューブは、1892年にイギリスで、エジンバラの英国協会の会議でドーソン・ターナー博士によって説明されたときに脚光を浴びた。
1893年、物理学者W.B.クロフトはロンドンの物理学会の会議でブランリーの実験を展示した。クロフトや他の人々にとって、ブランリーのファイリング管が火花に反応しているのか、それとも火花からの光に反応しているのかわからなかった。ジョージ・ミンチンは、ブランリー管が彼の太陽電池と同じようにヘルツ波に反応しているかもしれないことに気付き、論文「金属粉末を含むフィルムに対する電磁放射の作用」を書いた。これらの論文はイギリスの物理学者オリバー・ロッジ卿(Sir Oliver Lodge)によって読み上げられ、彼はこれをはるかに改良されたヘルツ波検出器を構築する方法と見なした。1894年6月1日、ハインリッヒ・ヘルツの死から数ヶ月後、オリバー・ロッジはヘルツに関する追悼講演を行い、このブランリー管を「コヒーラー」と名付けた。ブランリーのファイリング管の改良版を検出器として使用して、短距離でそれらを送信することを含む「ヘルツ波」(ラジオ)の特性を実証した。1895年5月、ロッジのデモンストレーションについて読んだ後、ロシアの物理学者アレクサンドル・ポポフは、コヒーラを使用して「ヘルツ波」(電波)ベースの雷検出器を構築しました。同年、イタリアの発明家グリエルモ・マルコーニは、コヒーラに基づいてヘルツ波(ラジオ)を使用した無線電信システムを実証した。コヒーラは1907年頃に受信機のよりシンプルで高感度な電解検出器と水晶検出器に置き換えられ、時代遅れになった。


日本でのコヒーラの利用

日本のブリキ玩具メーカーの増田屋齋藤貿易(Matsudaya Toy Co.)が、1957年からラジコン玩具と呼ばれるラジコン(RC)玩具のリモコンにスパークギャップ送信機とコヒーラベースの受信機を使用していた。当時すでに、昔の技術であったであろうコヒーラを用いていた。


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自己紹介

自営無線通信のエンジニアをしていました。現在はコンピュータ系。理科っぽいものが好きなので、電子工作、BCL、アマチュア無線、RCカー、カブトムシ、金魚、熱帯魚、自作コンピュータ、カメラ、ドローンなど一通り通過しております。 現在は、飛ぶものと昔のものに興味があります。

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