地震に伴い発生する通常の津波とは異なる大きな潮位の変化

2022/05/16

ニュース ニュースのその後 気象

t f B! P L

 2022年1月15日13時10分 - トンガのフンガ・トンガ噴火

津波・潮位変化

噴火後には火山周辺で津波が発生した。トンガから遠く離れた日本では15日夜に気象庁が「若干の海面変動がある可能性はあるものの、被害のおそれはない」と発表した。
実際に、トンガと日本の間にあるサイパンでは波が小さく、津波は小さいとみられていた。ところが、本来の津波の到達予想時刻より2時間ほど早く、日本に気圧変動が到達した20時(日本時間)ごろから日本の各地で潮位の変化を観測。23時以降には予想をはるかに超えた1m超の潮位変化があったため、気象庁は日付の変わった0時すぎに津波警報・注意報を発表した。気象庁は16日未明の会見で、「地震に伴い発生する通常の津波とは異なる」とし、この現象による災害を防ぐため、津波警報の仕組みを使って防災対応を呼びかけたと説明した。なお、この潮位変化は日本の北海道から南西諸島のほか、太平洋周縁の広い範囲(アメリカ西海岸、南米など)でも観測された。これら火山からはるか遠方で、火山直近のトンガ国内と同等やそれ以上の津波が観測された。

通常の津波は10分から1時間程度の周期で、特に遠方からの津波は周期が長くなるのに対し、今回の潮位変動は数分周期と異様に短かく、地震や火山噴火など海底の地形変動に生じた津波が日本に到達したとは考えにくいものだった。気象庁は急激な気圧変化による潮位の上昇が起きた可能性を指摘した。


時系列

噴火後には火山周辺で津波が発生した。トンガから遠く離れた日本では、15日19時に気象庁は「若干の海面変動が予想される津波予報(若干の海面変動)」を発表し、「若干の海面変動がある可能性はあるものの、被害のおそれはない」と発表したが、22時52分に小笠原父島で90cmの潮位変化を観測したのを皮切りに日本の沿岸で潮位変化が観測され、23時55分に奄美小湊で1.2mの潮位変化が観測された事から、改めて解析した結果、(16日00時15分発表)津波警報等の発表した。

津波警報 奄美群島・トカラ列島 

津波注意報  北海道太平洋沿岸東部 北海道太平洋沿岸中部 北海道太平洋沿岸西部 青森県日本海沿岸 青森県太平洋沿岸 岩手県 宮城県 福島県 茨城県 千葉県九十九里・外房 千葉県内房 伊豆諸島 小笠原諸島 相模湾・三浦半島 静岡県 愛知県外海 伊勢・三河湾 三重県南部 和歌山県 徳島県 高知県 宮崎県 鹿児島県東部 種子島・屋久島地方 沖縄本島地方 大東島地方 宮古島・八重山地方 

1月16日0時15分 - 奄美群島・トカラ列島に津波警報。
北海道太平洋沿岸東部、北海道太平洋沿岸中部、北海道太平洋沿岸西部、青森県日本海沿岸、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県九十九里・外房、千葉県内房、伊豆諸島、小笠原諸島、相模湾・三浦半島、静岡県、愛知県外海、伊勢・三河湾、三重県南部、和歌山県、徳島県、高知県、宮崎県、鹿児島県東部、種子島・屋久島地方、沖縄本島地方、大東島地方、宮古島・八重山地方に津波注意報。

緊急警報放送実施
1月16日午前2時から気象庁の宮岡一樹地震情報企画官が緊急会見。「現時点(2:33)でこれが本当に津波かどうかわかっておりません。ただし、大きな潮位の変化が観測されておりますので、防災上の観点から津波警報、注意報の仕組みを使って防災対応を呼びかけているものです。」

2時26分 - 久慈港での潮位変化が1.1mを超え、2時54分に岩手県沿岸部が津波警報に切替えられる。なお、岩手県沿岸の警報切り替えで、2回目の緊急警報放送を実施した。

4時07分 - 長崎県西方と鹿児島県西部に津波注意報。

7時30分 - 鹿児島県奄美群島とトカラ列島の津波警報が注意報に切り替え、岩手県沿岸部は警報継続。

11時20分 - 岩手県沿岸部の津波警報が注意報に切り替え。

14時00分 - 津波注意報は全て解除。

なお、日本国外でも、「フンガ・トンガ」に近いトンガで最大15m[130]、バヌアツで1m41cm、ニューカレドニアで1m10cm、ポートサンルイス(アメリカ・カリフォルニア州)で1m31cm、チリ沿岸部では1m22cmから1m74cmの津波を観測した。

気象庁|報道発表資料 (jma.go.jp)
気象庁|報道発表資料 (jma.go.jp)
津波の観測情報 - 日本気象協会 tenki.jp


通常の地震による津波ではない事と、深夜の警報発表になった為、ニュースにもなった。
【詳報】前例ない大規模噴火の “津波” その時 気象庁は… | NHK政治マガジン
トンガ大規模噴火 徳島や宮城などで漁船や養殖施設に被害 | NHKニュース


その後、不明とされていた大きな潮位の変化を解明する発表が出ている。

2022年1月に発生した南太平洋トンガ諸島のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の大規模噴火に伴って生じた地球規模の津波発生と伝播メカニズム

本研究では、ラム波による津波の発生・伝播過程の数値シミュレーションを実施した。

まず、世界各地で観測された大気圧データを基に、ラム波が火山から300m/sで伝播すると仮定してラム波の伝播シミュレーションを実施し、大気圧変化を計算した。続いて、気圧変化による津波の発生・伝播シミュレーションを実施し、津波(海面の波高変化)を計算した。最後に、上記の計算結果を基に、海底における水圧変化を計算した。

世界の海底水圧観測網について、シミュレーションにより計算された波形を実際の観測記録と比較したところ、計算波形はラム波の速度(300m/s)で伝播する第一波部分をよく再現した。海面波高変化のスナップショットからは、この波に対応する海面隆起の伝播が確認された。移動する気圧の波と津波の伝播速度が近い値となるとき、伝播距離の増大に伴って海面変動の振幅が大きくなる「共振現象」(「プラウドマン効果」とも呼ばれる)が起こることが知られているが、この波は伝播と共に増大していないことから典型的な共振現象とはいえず、むしろラム波による海面の強制振動によって引き起こされたと考えられる。
隆起の第一波に続き、ハワイ諸島などの太平洋の島しょ部を2次的な波源とした津波が生じていることも確認された。この波は、津波の散乱や反射など、海底地形の形状に由来する効果で生じた副次的な津波であると解釈され、津波の後続波を励起し、津波エネルギーを増加させる要因のひとつとなっている。さらに続いて、太平洋における津波の平均的な伝播速度(約200~220m/s)で移動する海面沈降の波も確認された。この沈降の波は、ラム波に由来する隆起の第一波が周囲に伝播する際に火山周辺で海水の体積保存により生じた海面の沈降が伝播したものと解釈できる。

数値シミュレーションで得られた海底水圧波形は、観測波形の第一波部分をよく再現した。一方、津波の到達予想時刻の前後における波形(第一波の到達から数時間以上遅れた部分)の再現性はさほど高くなかった。これは、この部分の波形には、本シミュレーションでは考慮しなかった噴火に伴う海底の地殻変動(海底地形の変化や山体の崩壊)に由来する津波や、「大気重力波」による津波の寄与が含まれているためである。

火山噴火においては、ラム波の他にもさまざまな大気の波が励起される。そのうち「大気重力波」と呼ばれる波は津波と同程度の伝播速度を持つ。したがって大気重力波と津波の間で共振現象が生じ、津波の振幅が増大するため、大気重力波によって生じた津波は伝播距離が長くなるほどその振幅が大きくなる。海底水圧観測記録を後続部分まで含めて高い精度で再現するには、地殻変動と大気重力波による津波を考慮する必要がある。そのためには、津波波源付近の地域においてどのような海底の地殻変動が生じたかを詳しく明らかにするための現地調査をはじめ、グローバルな大気圧観測ネットワークの記録や気象衛星の観測データなどを基にした、大気重力波の励起量や伝播過程に関する研究が必要である。

2022年1月トンガ噴火に伴う地球規模の津波発生と伝播メカニズムを解明 —火山噴火による新しい津波研究が必要に—|2022年度|報道発表|最新ニュース|防災科研(NIED) (bosai.go.jp)

【火山噴火に関連する大気・海洋波動現象の用語解説】

空振とは:空気中の圧力変化として音速で伝わる波.大気波動の一種。日本固有の用語で、英語の「Infrasound」を含む。

大気Lamb波とは:大気中を地表や海面に沿って大気音速で伝わる。大気波動の一種で大気境界波とも言う。

衝撃波とは:強い火山爆発等で発生し火口近くでは音速を超え、遠ざかると急激に減速し、音速で伝わる。

津波とは:波長が長ければ水深に応じた速度で伝わる。海洋波動の一種。

共鳴:大気波動が海面上を伝わる際、津波の伝播速度に一致すると海面変動が生じ、津波として伝わる。

【噴火に関する津波】

トンガ大規模噴火による津波は太平洋沿岸の各地に到達しました。東京湾アクアラインの海底トンネルに設置されたミュオグラフィ観測装置「Hyper Kilometric Submarine Deep Detector(HKMSDD)」を用いて測定された潮位偏差(天文潮位との差分)の時間変化。東京湾の海水を貫通して海底トンネルに到達した素粒子を測定することでトンネル上部にある海水の厚みに関する情報が得られます。2022年1月15日13時ごろ噴火が起き、そのおよそ8時間後の21時ごろに最初の津波が東京湾に到達しました。千葉、横須賀検潮所における潮位偏差との比較を行う。潮位の時間変化を見ると、千葉、横須賀における検潮結果とミュオグラフィの結果との間には似たような傾向がありますが、振幅はおよそ2.5倍高い結果となりました。また、横浜における気圧の時間変化は、検潮結果の大雑把な傾向として、潮位が徐々に高くなっているように見えますが、気圧変化による吸い上げ効果によるものと考えられ、吸い上げ効果の影響を受けないミュオグラフィではそのような変化は見られません。従って、津波そのものが高くなってきているのではないと考えられます。

【噴火に関するLamb波】

周期200秒より長い帯域では、大きな火山噴火が起きると、大気Lamb波(長周期大気音波の一種)が励起される事が知られています。1883年クラカタウ噴火には、地球を周回したとの記録が残っています。近代的な観測が始まってからは、地球を周回する火山起源のLamb波の観測はありませんでした。今回、全世界的に微気圧計記録を解析したところ、Lamb波が地球を周回する様子を捉えていました。

出典:
【研究速報】2022年1月15日13時頃(日本時間)のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の噴火 – 東京大学地震研究所 

トンガ海底火山噴火のラム波を鮮明に可視化 | 理化学研究所

2022.01.15 フンガトンガ・フンガハアパイ噴火  岡山大学


このブログを検索

ブログ アーカイブ

最新の投稿

クリスマスイブにはサンタクロースのプレゼント配送を追跡する

12月24日にサンタクロースを追跡する方法 サンタをリアルタイムに追跡するには、いくつかのWEBサイトでサンタ追跡情報を得ることができる。どのサイトも12月24日に実際にサンタクロースが仕事を始めてからの追跡になるためそれまでは、当然、位置情報は表示されない。 一番有名で歴史があ...

自己紹介

自営無線通信のエンジニアをしていました。現在はコンピュータ系。理科っぽいものが好きなので、電子工作、BCL、アマチュア無線、RCカー、カブトムシ、金魚、熱帯魚、自作コンピュータ、カメラ、ドローンなど一通り通過しております。 現在は、飛ぶものと昔のものに興味があります。

QooQ