風車がレーダーやテレビ放送に影響を及ぼす懸念と事象

2022/06/14

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風力発電用風車が航空自衛隊のレーダーや気象庁のレーダー、テレビ放送に影響を及ぼす懸念

風力発電の風車、ミサイル探知に影響の恐れ - 産経ニュース
風力発電の風車、ミサイル探知に影響の恐れ 2022/6/11 産経デジタル

全国で増加する風力発電の風車が航空自衛隊のレーダーに影響を及ぼす懸念が浮上し、防衛省が対応に苦慮している。敵の戦闘機やミサイルの探知が遅れるなど深刻な問題が起きる恐れもある。現状では発電事業者に計画段階での事前相談を呼びかけているが、善意の協力には限界があり、安全保障上の脅威になりかねないとの指摘もある。
レーダーは電波を発射し、反射波をとらえることで状況を把握する。航空自衛隊は全国28カ所に警戒管制レーダーを設置し、日本領空への飛来物に24時間態勢で目を光らせている。
一方、再生可能エネルギー推進策として固定価格買い取り制度(FIT)が導入された平成24年以降、風力発電の風車設置数が急増した。全国の設置数は昨年末時点で2574基。陸上では高さ100メートル以上、洋上では200メートル以上になる。
そのため、風車のブレード(羽根)がレーダー電波を反射し、探知しにくくなったり、風車との接触を避けるために航空機がルート変更を余儀なくされたりする可能性が浮上。風車の高さによっては100キロ先のレーダーに影響が出ることも判明した。

レーダーを設置している防衛省や気象庁は風量発電設備を設置している事業者にお願いを公表してこの問題の周知をしている。

防衛省・自衛隊:風力発電設備が自衛隊・在日米軍の運用に及ぼす影響及び風力発電関係者の皆様へのお願い 
風力発電設備が自衛隊・在日米軍の運用に及ぼす影響及び風力発電関係者の皆様へのお願い
レーダーへの影響
(1) 総論
 防衛省・自衛隊では、警戒管制レーダー、航空管制レーダー、気象レーダーなどの用途に応じた様々なレーダーを使用していますが、物体に対し電波を発信し、反射した電波を受信することでその物体の位置を特定する原理は共通です。
 ところが、大型の風車が存在すると、風車から受けるレーダー電波の反射は大きく強いものとなるため、自衛隊のレーダーの主な探知目標である航空機やミサイルといった小さい物体からの微弱な反射波は、風車からの反射波に埋もれてしまい、目標の探知や追尾に支障を生じるおそれがあります。
 また、大気中の雨や雪の粒による反射を受信して気象状況を観測する気象レーダーが風車の反射波を捉えた場合には、風車を強い雨雲と誤って観測するなど、航空機の安全な運航等に不可欠な気象状況の把握を適切に行うことができなくなるおそれがあります。
 こうした影響は、レーダーの標高や風車の高さによっては、レーダーの設置場所から遠く離れた場所でも生じる可能性があります。レーダーには、システム上の処理により不要な反射波を取り除く機能がありますが、風車の羽根は風向きや風の強さによって方向や速度を変えながら回転することから、システム上の処理で風車による反射波を完全に取り除くことは現在の技術では困難です。
安全保障への影響が見込まれる場合の対応
 風力発電関係者の皆様にとっては、円滑に事業を進める観点から、計画中の事業が安全保障へ影響を与えるのかどうかを可能な限り早期に確定させることが非常に重要であると認識しています。そのうち、一般海域における洋上風力発電については、洋上風力発電事業が実施できる区域について国が促進区域として指定するに際し、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律に基づき関係政府機関に対し協議が実施されますが、その際に安全保障上の観点から留意事項や高さ制限が付される場合もあります。
 そのため、防衛省・自衛隊としては、風力発電関係者の皆様から事業計画についての事前相談をいただいた際には、可能な限り速やかに、安全保障への影響について初期的な回答をしていきたいと考えています。
 その上で、安全保障への影響の分析・評価を行った結果、安全保障への影響があると認められた場合、例えば航空機の運航に影響が見込まれる場合には飛行経路の変更を検討する等、自衛隊・米軍の部隊運用上の調整によって影響を回避できないか、防衛省側での検討や米側との調整を行うこととなります。
 影響を回避するための措置を講じた上でもなお自衛隊や在日米軍の任務遂行に支障が生じるおそれがある場合には、防衛省から風力発電関係者の皆様に事業計画の変更をお願いすることとなります。具体的には、風力発電関係者の方が当初計画していた風車の配置(設置場所)や高さの変更をお願いすることが考えられます。


風力発電の風車がレーダーに影響を与える問題は世界各国でも問題になっている。気象庁や世界気象機関(WMO)も、気象観測に用いる気象レーダへの影響が出ているため風力発電の事業者などに風車の設置時に配慮をするよう広報している。レーダからの距離が比較的離れていても影響を与えるものもあり、そのような問題が発生する可能性があることを風車の設置前に知っておくことが必要であろう。

気象庁 | 風力発電施設が気象観測レーダーに及ぼす影響 
風力発電施設が気象観測レーダーに及ぼす影響
 我が国では、気候変動対策やエネルギー需給構造の変化を背景に、再生可能エネルギーの導入が積極的に推進されています。このうち風力発電施設については、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(令和元年5月に閣議決定)」に基づき、従来に比べてはるかに巨大な発電用風車を多数設置する計画が国内各地で進められるなど、今後導入の加速化が予想されています。
 この風車が気象レーダーの近傍に設置された場合、風車の規模、設置高度、気象レーダーまでの距離等に応じて、気象レーダーの電波を遮蔽したり、偽のエコー(降水以外からのエコー、「非降水エコー」という) を発生させたり、時には気象レーダーの受信機を破損させるなど、観測に大きな影響を及ぼす可能性があります。気象レーダーの観測データは警報の危険度分布の作成において最も重要なデータの一つとなっているため、防災気象情報の発表に支障をきたしかねません。そして、正当な理由なく、気象庁が設置している気象レーダーの効用を害する行為は、気象業務法第三十七条の規定により禁止されています。

風力発電の風車が気象レーダーに及ぼす影響

 気象レーダーの送信波が風車にあたると、以下の影響が生じるおそれがある。

送信波が遮蔽される        ⇒ 風車より先の観測ができない
多重散乱により偽のエコーが発生  ⇒ 誤った降水・風を観測
強い反射波をレーダーが受信    ⇒ 受信機の破損、気象レーダーが停止

遠方の風車の影響

 気象レーダーの発する電波は通常なら直進しますが、大気の状態によって、稀に地上方向に曲げられることがあります。この現象を「異常伝搬」といいます。似た現象として、地平線に隠れて見えないはずの風景が浮き上がって見える蜃気楼があります。
 気象レーダーの発する電波は通常なら直進するため、地表面が湾曲していることから、レーダーから遠方の風車ほど電波が当たりにくくなりますが、電波の異常伝搬が発生した際は、気象レーダーから45km以遠にある風車であっても、電波が回転する風車のブレードにあたり反射され、非降水エコーとして観測されることがあります。
 非降水エコーは、気象レーダーから発射された電波が、地表面や地表の構造物などに当たって反射されることで発生します。気象庁では、この非降水エコーの混入を防ぐため、反射物が動いているか止まっているかを識別し、止まっているものを除去しています。しかしながら風車のブレードは回転するため動いているものと識別され、誤って降水エコーと判別されてしまいます。
 下図は、気象庁の新潟レーダーが、250km離れた秋田県において、異常伝搬が原因で風車とみられる非降水エコーを一時的に観測した事例です。
気象庁の新潟レーダーが、250km離れた秋田県において、異常伝搬が原因で風車とみられる非降水エコーを一時的に観測した事例


ご存知ですか? 風車が及ぼす気象レーダーへの影響- 気象庁リーフレット


世界気象機関(WMO)による風車の立地に対する指針
ANNEX 7.B. WMO GUIDANCE STATEMENT ON WEATHER RADAR/WIND 
TURBINE SITING

気象レーダー/風力タービンに関するWMO(世界気象機関)のガイダンスステートメント 

風力発電機の設置

WMOは、風力発電所の展開が拡大していることに懸念を表明し、適切な協議と保護および緩和努力の必要性を強調する。
適切な協議、保護、緩和の努力の必要性を強調する。WMOはその懸念を政策立案者、国の電波管理機関、国の水文・気象学会、風力発電事業者、風力発電事業者、風力発電事業者、風力発電所の開発者、風力発電装置の商業ベンダー、気象学者に懸念を表明する。
WMOは政策立案者、国家電波管理機関、国家水文気象学会、風力発電所開発者、風力発電機機器の商業ベンダー、気象関係者に向けて、このような懸念を伝えています。
気象レーダーデータの保護は、気象センシング、モニタリング、予報の継続的な機能と改善にとって重要である。
気象レーダーデータの保護は、気象観測、監視、予測、警報の継続的な機能と向上に不可欠であり、したがって、公共の安全と安全のために最も有益である。
公共の安全と安全のためである。気象予測モデルおよび局地的な運用予測は気象予測モデルや局地的な運用予測は、地上設置型ドップラー気象レーダーや風速計の全国ネットワークにますます依存するようになっています。
竜巻、鉄砲水、ハリケーンなどの悪天候の警告のために、気象予測モデルや地域的な運用予測は、地上ベースのドップラー気象レーダーや風速プロファイラーなどの全国的なネットワークにますます依存しています。
降水(雨、雪、あられ)予測、航空機の着氷、航空交通・天候の回避などです。
ドップラーレーダーと風向計のネットワークは、現在、世界中で風力発電所からのプレッシャーが強まっており、その対策に追われています。
風力発電所はすでに気象レーダーネットワークに影響を及ぼしており、次のような現象が発生しています。
データの大幅な損失や偽の降水量を発生させたり、回転するブレードによって速度が発生し、その速度が気象現象であると誤認される可能性もあります。
竜巻のような悪天候と誤解される可能性があります。気象レーダーは風力発電所の開発者によって自主的に移動させられていますが 、一般に気象界は風力発電所の位置について何の管轄権も持っていません。
風力発電所の位置は管轄外であり、緩和策として「良き隣人」である協力者に頼っている。
政策に依存している。新しいレーダーやウィンドプロファイラーネットワーク、ウィンドファームの開発には、気象当局による緩和のための戦略的計画が必要である。
気象界と風力発電所のコミュニティによる緩和のための戦略的計画が必要である。WMO と気象界は、国際および国の電波機関に委任され、これを支援する。
WMO と気象界は、国際および国の無線機関に依存し、支援し、これらの機関が推進する努力を積極的 に奨励し支援する。
障害物のない空間の気象学的利用を保護するために、これらの機関の努力を積極的に奨励し、支援する。WMO は各国の無線機関に対し、次のことを奨励する。
許容可能な妨害基準を開発し、風力発電所開発者の立地選定を支援するためのツールを提供することを奨励する。
風力発電機と気象レーダーの間の距離は、レーダー品質への影響を一般的に説明するために使用することができる。
風車と気象レーダーの間の距離は、レーダー品質への影響を一般的に説明するために使用され、また、気象レーダーと風車を協力して設置する際の緩和策を提供するために使用される。以下は、典型的なレーダーと風力タービンの一般的なガイドラインである。
一般的なガイドラインであり、特定の状況や特定のレーダーに対しては修正が必要な場合がある。
レーダー。減衰の少ないSバンド(波長10cm)レーダーのような高出力レーダーは、レンジリミットを増やす必要があるかもしれない。
WMO は、この影響を軽減するための技術を開発するための研究に資金を提供し、実施することを推奨している。
この影響を緩和する技術を開発するための研究への資金援助と実施を奨励する。気象レーダーの信号処理技術や、風車に他の材料を使用することで影響を軽減できるかもしれない。
風車は、長距離でのクラッタを軽減することができるかもしれない。さらに、WMOは以下のことを推奨する。
これらの研究結果は、商業用気象レーダーや風力発電機メーカーに提供されることを推奨する。
気象レーダーと風力発電機のための遮蔽物のない空間を守ることは、すべての国にとって最善の利益となる。
悪天候の正確な予報に不可欠で重要な気象レーダーや風力プロファイラのための遮蔽物のない空間を守ることは、すべての国の最善の利益である。ローカルな国や技術的な解決策が求められています。WMOは支援し、ガイダンスを提供します。

風力発電機と気象レーダーの間の距離は、レーダー品質へ影響する

風力発電機と気象レーダーの間の距離 0~5km

風力タービンは、レーダーを完全に、あるいは部分的に遮蔽し、レーダーが遮断されることがあり、その結果データを大幅に損失し復旧できない場合がある。
確実な影響範囲 風力発電機、風力タービンは設置しないでください。
風車は設置してはならない。

風力発電機と気象レーダーの間の距離 5-20 km

多重反射やマルチパス散乱により、偽エコーや多重反射が発生する可能性があります。
偽エコーが発生したり、複数の標高が発生します。ドップラー流速測定は、回転するブレードによりブレードが回転しているため。中程度の影響範囲。
地形の影響を受ける可能性があります。
または個々のタービンを設置し直すことで、影響を低減または影響を軽減することができる。
分析および協議が必要です。
方向転換をお勧めします。

風力発電機と気象レーダーの間の距離 20-45 km

一般に最も低い標高のスキャンで見ることができる。
最も低い標高のスキャンで見ることができます。
地上のようなエコーが反射率で観測される。
回転するブレードによりドップラー速度が低下する可能性がある。
ブレードの回転によりドップラー速度が低下する場合があります。
低衝撃領域。通知することが推奨される。

風力発電機と気象レーダーの間の距離 > 45 km以上

一般にデータでは観測されないが伝搬状況により見えることがある。
データでは観測されないが、伝搬状況により観測されることがある。
断続的な影響のゾーンがあります。通知することが推奨される。

風車の影響に対処するための法的根拠と規制等

考えられる影響を防止するために以下のような法律が適用される。
環境影響評価法(環境アセスメント法)
電波法 第102条の2
気象業務法第三十七条(気象レーダーの場合)

風車の環境影響評価法での扱い

風力発電所の場合 出力1万kW以上の発電所を必ず環境アセスメントを行う事業(第1種事業) とし、出力7,500kW~1万kWの発電所を環境アセスメントが必要かどうかを個別に判断する事業(第2種事業)として、対象事業を実施しようとする事業者が行い、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行おうとする者が、自己の責任で事業の実施に伴う環境への影響について配慮し、事業者が事業計画を作成する段階で、環境影響についての調査・予測・評価を行うとともに環境保全対策の検討を一体として行うことにより、その結果を事業計画や施工・供用時の環境配慮等に反映しやすくするためのもでもある。
対象となる環境要素の範囲の中に電波障害が含まれており、事前調査が義務付けられているが、一般的に周辺で影響が出た場合により大きな影響が出る可能性がある地上デジタルテレビ放送の放送やその中継波などは、特に詳細に調査されているようである。

風車の電波法での扱い

公共性が高く、国民生活に密接に結びつく重要無線通信を高層建築物等の建築による遮蔽から未然に防止することを目的とする電波伝搬障害防止制度で、周波数890MHz以上の特定の固定地点間の無線通信で、重要無線通信の確保を図る必要があると認めるときには、その電波伝搬路を「伝搬障害防止区域」として指定する。
通常、伝搬障害防止区域は、重要無線通信の電波伝搬路の地上投影面において、その中心線から両側50mの幅(合計で100m幅)で指定されている。指定された伝搬障害防止区域の中に最高部の地表からの高さが三十一メートルをこえる建築物その他の工作物を設置する場合には工事を着手する前に総務大臣に届け出なければならない。
ここで言われている重要無線通信は以下のようなものが定められている。
  • 電気通信業務用(NTT等の電気通信事業用無線通信、主に携帯電話の基地局間の通信)
  • 放送業務用(放送局が送信所へ番組を伝送する無線通信など)
  • 人命財産の保護・治安維持用(警察、消防、防災行政等のための無線通信)
  • 気象業務用(気象庁の無線通信)
  • 電気供給業務用(電力の安定供給のための電力会社等の無線通信)
  • 列車運行事業用(列車の安全運行のための鉄道会社の無線通信)
この規制は固定地点間のマイクロ波回線の通信を確保するのが目的である為、レーダーの電波や放送局の放送波を保護するための規制ではない。電波法でレーダー波を直接保護するための規制は存在しないのではないのはないか。

電波法
第八章 雑則
(伝搬障害防止区域の指定)
第百二条の二 総務大臣は、八百九十メガヘルツ以上の周波数の電波による特定の固定地点間の無線通信で次の各号の一に該当するもの(以下「重要無線通信」という。)の電波伝搬路における当該電波の伝搬障害を防止して、重要無線通信の確保を図るため必要があるときは、その必要の範囲内において、当該電波伝搬路の地上投影面に沿い、その中心線と認められる線の両側それぞれ百メートル以内の区域を伝搬障害防止区域として指定することができる。
一 電気通信業務の用に供する無線局の無線設備による無線通信
二 放送の業務の用に供する無線局の無線設備による無線通信
三 人命若しくは財産の保護又は治安の維持の用に供する無線設備による無線通信
四 気象業務の用に供する無線設備による無線通信
五 電気事業に係る電気の供給の業務の用に供する無線設備による無線通信
六 鉄道事業に係る列車の運行の業務の用に供する無線設備による無線通信
2 前項の規定による伝搬障害防止区域の指定は、政令で定めるところにより告示をもつて行わなければならない。
3 総務大臣は、政令で定めるところにより、前項の告示に係る伝搬障害防止区域を表示した図面を総務省及び関係地方公共団体の事務所に備え付け、一般の縦覧に供しなければならない。
4 総務大臣は、第二項の告示に係る伝搬障害防止区域について、第一項の規定による指定の理由が消滅したときは、遅滞なく、その指定を解除しなければならない。
(伝搬障害防止区域における高層建築物等に係る届出)
第百二条の三 前条第二項の告示に係る伝搬障害防止区域内(その区域とその他の区域とにわたる場合を含む。)においてする次の各号の一に該当する行為(以下「指定行為」という。)に係る工事の請負契約の注文者又はその工事を請負契約によらないで自ら行なう者(以下単に「建築主」という。)は、総務省令で定めるところにより、当該指定行為に係る工事に自ら着手し又はその工事の請負人(請負工事の下請人を含む。以下同じ。)に着手させる前に、当該指定行為に係る工作物につき、敷地の位置、高さ、高層部分(工作物の全部又は一部で地表からの高さが三十一メートルをこえる部分をいう。以下同じ。)の形状、構造及び主要材料、その者が当該指定行為に係る工事の請負契約の注文者である場合にはその工事の請負人の氏名又は名称及び住所その他必要な事項を書面により総務大臣に届け出なければならない。
一 その最高部の地表からの高さが三十一メートルをこえる建築物その他の工作物(土地に定着する工作物の上部に建築される一又は二以上の工作物の最上部にある工作物の最高部の地表からの高さが三十一メートルをこえる場合における当該各工作物のうち、それぞれその最高部の地表からの高さが三十一メートルをこえるものを含む。以下「高層建築物等」という。)の新築
二 高層建築物等以外の工作物の増築又は移築で、その増築又は移築後において当該工作物が高層建築物等となるもの
三 高層建築物等の増築、移築、改築、修繕又は模様替え(改築、修繕及び模様替えについては、総務省令で定める程度のものに限る。)
2 前項の規定による届出をした建築主は、届出をした事項を変更しようとするときは、総務省令で定めるところにより、その変更に係る事項を書面により総務大臣に届け出なければならない。
3 前二項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る文書の記載をもつてしては、当該高層部分が当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信の電波伝搬路における当該電波の伝搬障害を生ずる原因(以下「重要無線通信障害原因」という。)となるかどうかを判定することができないときは、総務大臣は、その判定に必要な範囲内において、その届出をした建築主に対し、期限を定めて、さらに必要と認められる事項の報告を求めることができる。
4 前条第一項の規定による伝搬障害防止区域の指定があつた際現に当該伝搬障害防止区域内(その区域とその他の区域とにわたる場合を含む。)において施工中の指定行為(総務省令で定める程度にその施工の準備が完了したものを含む。)については、第一項の規定は、適用しない。
5 前項に規定する指定行為に係る建築主は、当該伝搬障害防止区域の指定後遅滞なく、総務省令で定めるところにより、当該指定行為に係る工事の計画を総務大臣に届け出なければならない。
6 第四項に規定する指定行為に係る建築主が、当該伝搬障害防止区域の指定の際におけるその指定行為に係る工事の計画(従前この項の規定による届出に係る計画の変更があつた場合には、その変更後の計画)のうち総務省令で定める事項に係るものを変更しようとする場合には、第二項及び第三項の規定を準用する。
第百二条の四 総務大臣は、建築主が、前条第一項又は第二項(同条第六項及び次項において準用する場合を含む。)の規定による届出をしなければならない場合において、その届出をしないで、指定行為に係る工事又は当該変更に係る事項に係る部分の工事(総務省令で定めるものを除く。)に自ら着手し又はその工事の請負人に着手させたことを知つたときは、直ちに、当該建築主に対し、期限を定めて、同条第一項又は第二項(同条第六項及び次項において準用する場合を含む。)の規定により届け出るべきものとされている事項を書面により総務大臣に届け出るべき旨を命じなければならない。
2 前項の規定に基づき前条第一項の規定により届け出るべきものとされている事項の届出を命ぜられてその届出をした者については、同条第二項の規定を準用する。
3 第一項の規定に基づく命令による届出又は前項において準用する前条第二項の規定による届出があつた場合には、同条第三項の規定を準用する。
(伝搬障害の有無等の通知)
第百二条の五 総務大臣は、第百二条の三第一項若しくは第二項(同条第六項及び前条第二項において準用する場合を含む。)の規定による届出又は前条第一項の規定に基づく命令による届出があつた場合において、その届出に係る事項を検討し、その届出に係る高層部分(変更の届出に係る場合にあつては、その変更後の高層部分。以下同じ。)が当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信障害原因となると認められるときは、その高層部分のうち当該重要無線通信障害原因となる部分(以下「障害原因部分」という。)を明示し、理由を付した文書により、当該高層部分が当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信障害原因とならないと認められるときは、その検討の結果を記載した文書により、その旨を当該届出をした建築主に通知しなければならない。
2 前項の規定による通知は、当該届出があつた日(第百二条の三第三項(同条第六項及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定による報告を求めた場合には、その報告があつた日)から三週間以内にしなければならない。
3 第一項の場合において、前二項の規定により、届出に係る高層部分が当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信障害原因となると認められる旨の通知を発したときは、総務大臣は、その後直ちに、当該高層建築物等につき、建築主の氏名又は名称及び住所、敷地の位置、高さ、高層部分の形状、構造及び主要材料、障害原因部分その他必要な事項を書面により当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信を行なう無線局の免許人に通知するとともに、建築主からの届出に係る当該工事の請負人に対しても、当該障害原因部分その他必要な事項を書面により通知しなければならない。
(重要無線通信障害原因となる高層部分の工事の制限)
第百二条の六 前条第一項及び第二項の規定により、届出に係る高層部分が当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信障害原因となると認められる旨の通知を受けた建築主は、次の各号のいずれかに該当する場合を除くほか、その通知を受けた日から二年間は、当該指定行為に係る工事のうち当該通知に係る障害原因部分に係るものを自ら行い又はその請負人に行わせてはならない。
一 当該指定行為に係る工事の計画を変更してその変更につき第百二条の三第二項(同条第六項及び第百二条の四第二項において準用する場合を含む。)の規定による届出をし、これにつき、前条第一項及び第二項の規定により当該高層部分が当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信障害原因とならない旨の通知を受けたとき。
二 当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信を行う無線局の免許人との間に次条第一項の規定による協議が調つたとき。
三 その他総務省令で定める場合
(重要無線通信の障害防止のための協議)
第百二条の七 前条に規定する建築主及び当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信を行なう無線局の免許人は、相互に、相手方に対し、当該重要無線通信の電波伝搬路の変更、当該高層部分に係る工事の計画の変更その他当該重要無線通信の確保と当該高層建築物等に係る財産権の行使との調整を図るため必要な措置に関し協議すべき旨を求めることができる。
2 総務大臣は、前項の規定による協議に関し、当事者の双方又は一方からの申出があつた場合には、必要なあつせんを行なうものとする。
(違反の場合の措置)
第百二条の八 次の各号の一に該当する場合において、必要があると認められるときは、総務大臣は、その必要の範囲内において、当該各号の建築主に対し、当該建築主が現に自ら行ない若しくはその請負人に行なわせている当該各号の工事を停止し若しくはその請負人に停止させるべき旨又は相当の期間を定めて、その期間内は当該各号の工事を自ら行ない若しくはその請負人に行なわせてはならない旨を命ずることができる。
一 第百二条の三第一項又は第二項(同条第六項及び第百二条の四第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して建築主からこれらの規定による届出がなかつた場合(第百二条の四第一項の規定に基づく命令による届出があり、これにつき第百二条の五第一項及び第二項の規定による通知をした場合を除く。)において、当該建築主が、現に当該指定行為に係る工事のうち高層部分に係るものを自ら行ない若しくはその請負人に行なわせているとき、又は近く当該工事を自ら行ない若しくはその請負人に行なわせる見込みが確実であるとき。
二 総務大臣が第百二条の三第三項(同条第六項及び第百二条の四第三項において準用する場合を含む。)の規定により報告を求めたが当該建築主から期限までにその報告がない場合において、当該建築主が、現に当該指定行為に係る工事のうち高層部分に係るものを自ら行ない若しくはその請負人に行なわせているとき、又は近く当該工事を自ら行ない若しくはその請負人に行なわせる見込みが確実であるとき。
2 前項の相当の期間は、第百二条の六に規定する期間を基準とし、当該高層部分が当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信障害原因となる程度、当該重要無線通信の電波伝搬路を変更するとすればその変更に通常要すべき期間その他の事情を勘案して定めるものとする。
3 総務大臣は、第一項の規定により建築主に対し期間を定めて高層部分に係る工事を自ら行ない又はその請負人に行なわせてはならない旨を命じた場合において、その期間中に、当該建築主と当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信を行なう無線局の免許人との間に協議がととのつたとき、第百二条の六第一号又は第三号に該当するに至つたときその他その必要が消滅するに至つたときは、遅滞なく、当該命令を撤回しなければならない。
(報告の徴収)
第百二条の九 総務大臣は、前七条の規定を施行するため特に必要があるときは、その必要の範囲内において、建築主から指定行為に係る工事の計画又は実施に関する事項で必要と認められるものの報告を徴することができる。
(総務大臣及び国土交通大臣の協力)
第百二条の十 総務大臣及び国土交通大臣は、第百二条の二から第百二条の八までの規定の施行に関し相互に協力するものとする。

風車の気象業務法での扱い

気象庁の見解では気象レーダに影響が出るものに関しての見解は"正当な理由なく、気象庁が設置している気象レーダーの効用を害する行為は、気象業務法第三十七条の規定により禁止されています。"としている。レーダの近傍に設置されたものに対しては物申しやすいかもしれないが、遠く離れている物まではなかなか物申すのが難しいのではないだろうか。
気象業務法
第六章 雑則
(気象測器等の保全)
第三十七条 何人も、正当な理由がないのに、気象庁若しくは第六条第一項若しくは第二項の規定により技術上の基準に従つてしなければならない気象の観測を行う者が屋外に設置する気象測器又は気象、地象(地震にあつては、地震動に限る。)、津波、高潮、波浪若しくは洪水についての警報の標識を壊し、移し、その他これらの気象測器又は標識の効用を害する行為をしてはならない。

風力発電の風車の影響の問題として、懸念されているレーダーに対する影響であるが、これは単に影響を受けてしまうという問題だけではなく、それに対処しようとした場合に法的根拠が薄いことと、事前に調整を強制することができない為、影響を受けてはじめて動かざる得ない事であろう。このことから、地上デジタル放送の受信障害を同一線上に語るのは違うかもしれないが、調べてみた。

地上デジタル放送への風車の影響

「風力発電による放送受信への影響防止についてのご協力のお願い」として地方の総合通信局が配慮を求める案内をしている。
近年、再生可能エネルギーが脚光をあびて、ますます多くの風力発電施設が計画されています。これらの風力発電建設地の周辺環境につきましては、環境アセスメント等により保護されていますが、風力発電施設の建設により、放送中継局の受信環境に影響が発生するおそれが懸念されております。
想定される中継局等への障害事例
風車が回転することにより、放送波を断続的に遮断することから、テレビの画像にブロックノイズ(右画像参照)が断続的に発生し、ひどいときにはブラックアウトして受信できなくなる。
他の放送局や放送中継局で送信された電波を受信してさらに中継している場合については、中継された電波を受信している広範囲の住民に影響が生じる可能性がある。
テレビ放送用中継局やラジオ・FM中継局のほか、ケーブルテレビ等の共同受信施設でも同様の影響が生じる可能性があり、主要な放送局・中継局への回線(いわゆるマイクロ波回線)の領域のほとんどは電波法102条の2にもとづく「伝搬障害防止区域」に指定されており、風力発電施設等高層建築物の建設に当たっては電波法に基づく手続が必要となる場合がある。
しかし、このような中継局への影響は、環境アセスメント対象規模に満たない、小規模の風力発電施設でも発生する可能性がある。

電波法が規定している伝搬障害防止区域以外においては、電波法による法的な規制がないことから、風力発電事業者の皆様と放送事業者間での情報が共有されず、過去に風力発電施設の影響によるテレビの受信障害が発生した事例があります。
これらの障害は、地上デジタル放送の中継局間や中継局から各家庭に届く電波が風力発電機の風車により遮蔽されたことが原因で、広範囲にわたり受信障害が発生しテレビが映らなくなるというものです。
以上のことを踏まえ、風力発電事業者の皆様が配慮書を作成するなど計画の初期段階で放送事業者に情報をご提供いただき、テレビの受信障害を未然に防止したいと考えておりますので、ご理解ご協力をお願いいたします。


風車による受信障害例と救済方法
風車による受信障害例と救済方法


影響が出てから風車を移動させるのは難しいので事前にしっかり調べなければならない。

参考資料:
総務省|東北総合通信局|風力発電による放送受信への影響防止についてのご協力のお願い 

総務省|九州総合通信局|風力発電施設による地上デジタル放送受信への影響防止についてのご協力のお願い 

風力発電設備による テレビ受信障害と対策について [PDF]

風力発電導入ガイドブック(2008年2月改訂 第 9 版) 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構[PDF]




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自営無線通信のエンジニアをしていました。現在はコンピュータ系。理科っぽいものが好きなので、電子工作、BCL、アマチュア無線、RCカー、カブトムシ、金魚、熱帯魚、自作コンピュータ、カメラ、ドローンなど一通り通過しております。 現在は、飛ぶものと昔のものに興味があります。

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